この記事の要点
- まず、本人の気持ちを聞く。「悔しかった」と言うなら、その言葉を受けとめるところから始められます。
- その日の点数だけで、得意・不得意や努力の量を決めつけない。話せそうなら、何に困ったかを一緒に確かめます。
- 見直しを急がず、必要な助けを相談する。今日は話を聞くだけにする選択もあります。
目次
「テスト、全然できなかった」。帰ってきた子どもに、何と返せばよいか迷う日があります。
まずは「そうだったんだ。今、話したい?」と聞いてみる。本人が「悔しい」と話したら、「悔しかったんだね」と受けとめる。見直しの相談は、そのあとでも構いません。すぐに「失敗はいいことだよ」と励ましたり、原因を突き止めたりする必要はないでしょう。
この記事は、小学生がテストの結果を持ち帰った日の会話を考えます。以下の声かけは、家庭での選択肢として編集部が作った例です。特定の言い方で意欲や成績が上がると確かめられた手順ではありません。
点数を見る前に、何を話したいか聞いてみる
子どもが気にしているのは、間違えた問題かもしれません。「勉強したのにできなかった」という悔しさや、親に叱られるのではという心配を話したい場合もあるでしょう。点数から気持ちまで決めず、本人の言葉を聞いてみます。
「どんなところが気になっている?」
返事に迷っているようなら、「答案を一緒に見てほしい? 今日は話を聞くだけにしようか」と選べる形にしてもよいでしょう。まだ話したくなければ、いったん置いておけます。
聞くつもりが、質問を重ねる時間にならないように。「どうして」「何が悪かった」と続けず、一つ話してくれたところで止めても構いません。
慰めるときも、その子の能力を決めなくていい
「算数は苦手だから、仕方ないよ」。慰めたい気持ちから、こんな言葉が出ることもあります。言葉に迷ったら、その子を「苦手な子」とまとめず、今回の出来事について話す方法があります。
「今回は、思ったようにできなかったんだね」
本人が「自分は頭が悪い」と言ったときも、その評価を引き継ぐ必要はありません。「そう思うくらい、つらかったんだね。困ったところを一緒に見てほしいときは言ってね」と返す選択があります。
反対に、「次は絶対できる」「頑張れば必ず上がる」と約束しなくても大丈夫です。失敗を喜ばせることや、前向きな言葉を言わせることを、今日の目標にしないでおきます。

見直すなら、次に必要な助けを相談する
本人が答案を見たいと言ったら、すべてを解き直すと決める前に、気になった一問から見られます。
「この問題は、どこまで分かった?」
答えを聞いても分からないときは、教科書の例を探す、学校のノートを見る、先生に聞きたい箇所に印をつける、といった選択があります。「もう少し頑張る」だけで終えず、どんな手助けが必要かを相談するための例です。
本人が一人で考えたいなら待つ。一緒に見てほしいなら、その問題を見る。疲れている日は後にする。テストが返るたびに、家庭で追加練習をする決まりを増やす必要はありません。
何度見ても同じところで困るなら、家庭だけで解決しようとせず、本人と相談して先生に様子を伝える方法もあります。「やる気がない」とまとめず、どの問題で、何に困っていたかを伝えられます。
この研究から、声かけの正解は決められない
HaimovitzとDweckの2016年の研究では、米国の小学4・5年生と親73組への質問紙で、親の失敗の捉え方と、子どもの「知的な能力は変わるか」という考え方に関連が見られました。ただし、親の多くは大学卒以上で、地域も限られます。親子の関連を調べた部分は、親の考え方を変えると子どもが変わる、と確かめた実験ではありません。原論文
同じ論文の実験では、親132人に失敗について異なる捉え方を促し、子どもが数学の小テストで不合格だったという仮想場面への応答を比べました。能力・成績を重視する記述や、学習を重視する記述に差があったと報告されています。しかし、2024年に発表された追試報告では、親141人の再追試で対象となった応答の差は再現されませんでした。いずれも、実際の親子の会話や、子どもの成績向上を測定した研究ではありません。追試を報告した論文
また、原論文には2017年の訂正があります。「親の失敗の捉え方のほうが、親の知能についての考え方より強く子どもの知能観と関連する」という比較は検証されていません。訂正文
こうした研究から、慰めのひと言を禁句にしたり、親の反応に子どもの将来の責任を負わせたりはできません。この記事では、効果が決まった声かけを勧めるのではなく、点数の評価を急がず、その日に必要な話や手助けを選ぶための会話例を紹介しています。
今日は、話を聞くところまででも
親も心配になって、先に「もっと勉強したら」と言ってしまうことがあります。気になったら、「さっきは点数の話を急いだね。何を話したかった?」と戻る方法もあります。言い直しを毎回の義務にしなくて構いません。
答案をすぐに学習計画へ変えなくても、子どもが話したかったことを聞く日はつくれます。「今、何をしてほしい?」を確かめ、必要なら次の助けを相談する。そのくらいの会話から考えてみてはいかがでしょうか。
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参考文献
- Haimovitz, K., & Dweck, C. S.(2016). Parents’ Views of Failure Predict Children’s Fixed and Growth Intelligence Mind-Sets. Psychological Science, 27(6), 859–869. 出版社ページ。論文名は訂正後の表記。
- Corrigendum(2017). Psychological Science, 28(4), 551. 出版社の訂正文。
- Boyce, V., et al.(2024). Estimating the Replicability of Psychology Experiments After an Initial Failure to Replicate. Collabra: Psychology, 10(1), 125685. 公開全文。
資料確認日:2026年10月22日









