この記事の要点
- AIが謝ったことと、答えが正しく直ったことは別に確かめます。
- 「どこが変わった?」「その答えは、どこで確かめられる?」の二つから見ます。
- 確認できなければ、その答えを使わず保留できます。家庭で毎回AIを試す必要はありません。
謝り方ではなく、直した内容を見る
子どもと見ていたAIの答えを指摘したら、「申し訳ありません。正しくは……」と返ってきた。そんなときは、謝ったからもう大丈夫、と決めずに、書き直された中身を見ます。
これは、AIを怖がったり、子どもの使い方を責めたりするためではありません。文部科学省の学校向けガイドラインも、生成AIには誤った出力があり得ることを踏まえ、正確性や事実関係を確認するよう示しています。文部科学省ガイドライン、5・19ページ
ここで考えるのは、子どもと保護者がすでにAIの返答を見る場面です。研究に参加した4〜7歳に、生成AIの利用を勧める記事ではありません。
親から声をかけるなら、「謝ってくれたね。答えのどこが変わったかも見ようか」。会話の感じのよさと、情報の確認を分ける言い方です。以下は編集部の提案で、この会話自体の効果を検証した研究ではありません。
例えば、人物が生まれた年を調べていたなら、前後の答えで変わった年を一つ拾います。長い説明が付いたかどうかではなく、今使おうとしている情報が何かを絞ります。
同じ質問を繰り返す前に、別の資料へ
次は、「その年を、どこで確かめられるかな」と資料を選びます。教科書や図鑑、博物館などの公式ページと照らす方法があります。AIが出典を示した場合も、資料を実際に開いて、同じ人物についてその年が書かれているかを見ます。リンクが付いているだけで確認済みにはしません。
AIに「本当に?」と何度も聞き、最後に出た答えを採用するよりも、確かめられる資料に戻る、という選択です。資料同士でも違っていたり、答えが見つからなかったりしたら、「ここはまだ分からない」にして構いません。宿題なら、分からない箇所を先生に聞く材料にできます。
保護者がすべて調べ切る必要はありません。その情報を今は使わない、教科書で分かる範囲に戻す、という終わり方もあります。
この記事は子どもにAIへの登録や実験を勧めるものではありません。利用する場合はサービスの年齢条件や学校のルールを確認します。確かめるために、子どもの氏名・写真や友だちの情報を入力する必要もありません。

ロボットが謝ると、子どもの信頼はどう変わった?
Flanaganらが2024年に発表した研究では、米国の4〜7歳168人が、人または人型ロボットの録画を相手に、見慣れない物の架空の名前を選ぶオンラインゲームに参加しました。子どもは、相手が人かロボットかと、誤答後の反応を組み合わせた6条件に無作為に割り付けられました。相手は初めは正しい答えを出し、途中から誤答を続けました。誤った後の反応には、間違いを認める、謝罪も添える、わざと間違えたと伝える、という違いを設けています。
この研究では、子どもが相手と同じ答えを選ぶかを、信頼の指標にしています。誤りが重なると、全体としてその選択が減りました。ただし6〜7歳群では、謝るロボットの答えを、同じように謝る人の答えより選びやすい結果もありました。原著論文
このゲームでは、謝罪したから次の答えが正しくなる設計ではありませんでした。「謝る反応」と「正答すること」を分けて考えるうえで、興味深い結果です。
研究から言えないこと
これは録画した人型ロボットを使った、短時間の言葉当てゲームです。生成AIが謝罪して回答を書き直す場面を調べた研究ではなく、子どもが長く使う場面や、家庭での確認方法も試していません。主な分析は探索的で、参加家庭にも高学歴・高所得側への偏りがあります。特定の年齢ならAIを見抜ける、どの子も謝罪で信じる、と一般化はできません。
研究は「AIが反省している」と証明したものでもありません。家庭で持ち帰りたいのは、子どもを試す課題ではなく、「丁寧な返答だったね。でも、この情報は別に確かめよう」と分けて話す選択肢です。
参考文献・資料
- Flanagan, T., Georgiou, N. C., Scassellati, B., & Kushnir, T. (2024). School-age children are more skeptical of inaccurate robots than adults. Cognition, 249, 105814. 2024年5月18日オンライン公開、8月巻掲載。DOI/著者研究室公開の論文PDF
- 文部科学省(2024年12月26日)『初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0』。学校向けの資料であり、本記事の会話例を検証した研究ではありません。公式PDF









