この記事の要点
- 「相手が求めたこと」と「本人が心配していること」を、決めつけずに聞きます。
- 返信を休むための一言は、送るかどうかも含めて本人が選べます。
- 急かし方に脅しや嫌がらせがある場合は、本人の返信の工夫だけで解決させようとしません。
目次
「すぐ返さないと嫌われそう。でも、ずっと返信するのは疲れる」。子どもがそんなふうに話したら、まずは「返事を急ぐのがしんどいんだね」と聞くところから始められます。「嫌われないよ」と保証したり、すぐに連絡をやめさせたりする前に、何が心配なのかを確かめます。
相手から実際に急かされたのか、言われてはいないけれど気になるのか。そこを分け、本人が望めば、遅れて返すことの伝え方や、今は返信しない時間を一緒に考えられます。この記事は、すでにSNSなどで友だちと連絡を取り合う中高生の保護者に向けたものです。
急かされたことと、心配していることを分ける
「早く返して、と言われたことがある? それとも、待たせるのが気になる感じ?」。子どもが話したい様子なら、こんな聞き方ができます。これは、心配が本当かどうかを試す質問ではありません。どちらであっても、本人が負担に感じていることは受け止めます。
「返事が遅くても何も言われていない」なら、相手の期待がどの程度かは、まだ分かりません。親が「きっと怒っている」「そんな友だちとは離れなさい」と補ってしまわず、「どんなことが起きそうで気になる?」と聞けます。
逆に、返信が遅れるたびに責められるなら、その言葉や場面を本人が話せる範囲で聞きます。最初から履歴を全部見せることを条件にしなくても、相談は始められます。話しにくそうなら、その日は詳しく聞かずに終えてもかまいません。
切り上げる言葉は、本人が言いやすい形で
以下は編集部が考えた会話の例です。研究で効果が確認された返信術ではありません。本人が「何て言えばいいかな」と相談してきたときに、言いやすいものがあるか一緒に考えるための材料です。
- 会話の途中で休みたいとき:「今日はここで休むね。また話せるときに」
- 返事を待たせるのが気になるとき:「すぐに返せないときもあるよ。読めるときに返すね」
- 返す時刻を決めたくないとき:「今は返事ができないので、落ち着いてから返すね」
「あと10分で返す」「明日の朝には必ず返す」と約束しなくてもかまいません。決めた時刻が新しい負担になりそうなら、時刻を入れない言い方も選べます。文面はそのまま使う必要はなく、本人らしい短さに直せます。
毎回、休む理由を説明するルールを作る必要もありません。「今日は一言伝えたい」「今は何も送らず休みたい」のどちらを望むか、本人に聞いてみます。親が代わりに送信したり、友だちへ先回りして説明したりする前に、本人の希望を確かめます。
返さない時間を、次の義務にしない
休み方を話すときも、「これから毎晩、決まった時刻に必ずやめる」と大きな約束を作らなくて大丈夫です。今夜の会話を切り上げたいのか、何日か連絡を減らしたいのか、本人が望んでいる範囲を聞きます。
待ち合わせの確認など、返したい用件が残っているなら、その用件だけ返して雑談は後にする方法もあります。一方で、すぐに答えられない内容まで、親が「返信してから休みなさい」と課題にしなくてもかまいません。
一度伝えれば必ず分かってもらえる、と約束はできません。うまく切り上げられなかったときも、子どもの伝え方が悪かったと決めつけず、「どこが難しかった?」と聞き直せます。毎日、返信の速さや回数を親が点検するための方法ではありません。

研究が調べたのは、親友への返信をめぐる本人の負担
Fox氏らの研究では、米国南東部の農村地域にある学区の若者714人を対象とし、2015〜2016年に1年の間隔で質問しました。翌年の回答者は641人で、欠けた値を統計的に補って解析しています。最初の調査時点の平均年齢は約16歳です。親友に電話やオンラインでいつも応じなければならない、すぐ返事をしなければならないと感じる負担を、本人への質問で測っています。
負担の平均の強さ自体には、男女で統計的に有意な差はありませんでした。ただし、1年後との関連には違いが見られました。対立については最初の対立の程度を、健康については最初の健康の自己評価を考慮した分析では、男子で、この負担の強さが1年後の親友との対立の多さ、自分の健康を低く評価することと関連していました。女子では同じ関連は統計的に確認されませんでした。
抑うつ症状については、負担との1年後の関連も、その関連の性別による違いも、統計的に確認されませんでした。
これは観察研究です。「返信を急ぐと健康を損なう」「返信を遅らせれば関係がよくなる」と原因や対策の効果を示したものではありません。すべて本人の自己申告で、実際の返信速度や、友だちがどの程度即答を求めたかを直接調べた研究でもありません。
調査地域と年代は限られ、現在の日本の中高生全体へそのまま当てはめることはできません。また、性別を男性・女性の二択で尋ねた点も限界です。結果から、女子には負担がない、男子だけに注意すればよい、と決めることはできません。目の前の本人がどう感じているかを聞く際の参考として読めます。
責められたり、脅されたりしているときは
「返さないなら仲間外れにする」と脅される、返信を休むと繰り返し悪口を送られるなど、具体的な威圧や嫌がらせがある場合は、言い方を工夫して我慢する問題にしないことが大切です。
本人の希望と安全を確かめながら、保護者や学校の相談できる先生など、頼れる大人と対応を考えます。怖くて自分では断れないと言う子に、友だちへの説明や交渉を一人で任せなくてかまいません。
その日の会話は、「今は聞くだけがいい? それとも、休むための一言を一緒に考える?」で終えても十分です。返事の速さだけで友だちの気持ちを決めつけず、本人が休みたいと言えたことを、相談の入口にできます。
一次資料と編集方針
Fox, K. A., Nick, E., Nesi, J., Telzer, E. H., & Prinstein, M. J. Why Haven’t You Texted Me Back? Adolescents’ Digital Entrapment, Friendship Conflict, and Perceived General Health. Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology, 54(5), 530–540. 2023年10月5日オンライン公開、2025年巻号掲載。DOI: https://doi.org/10.1080/15374416.2023.2261543
原著全文は、著者らが所属する研究チームの公開論文一覧(https://tarheels.live/connectionsconsortium/publications/)から案内される著者稿(https://drive.google.com/file/d/1oSLn7ynxiwQn5_qSJ_tbn-Ex11IgFyZY/view?usp=sharing)を確認しました。確認日:2026年10月24日(日本時間)。
本文の声かけや返信文例、家庭での工夫は編集部の提案であり、この研究が効果を直接確かめたものではありません。取り入れるかどうかは、本人の希望や友だちとの状況に合わせて選んでください。









