前は楽しそうに使っていたSNSでも、最近の様子が違うなら、「前は大丈夫だった」で話を終えずに聞き直してかまいません。今、楽しいことと、困っていることを一つずつ確かめ、必要なら使い方を少し変える。すぐに全面禁止か現状維持かを決めなくても、そこから始められます。
この記事は、主に中学生の保護者に向けたものです。「SNSの後は元気がないように見える」「前より返信を気にしている」といった、具体的な場面を手がかりにします。親が毎日の気分を採点する必要はありません。
この記事の要点
- 以前の様子を、今の決めつけにしない。 子どもが使い方を変えたいと言ったら、理由を聞き直せます。
- 「楽しい」と「疲れる」は、両方あってよい。 アプリ全体の評価より、どの場面かを話します。
- 調整は一つ、見直す機会も一つ。 続けたい使い方を残しながら、本人と相談できる範囲を探します。
目次
「この前は平気だったのに」を、責める言葉にしない
同じアプリを使っていても、子どもが話したい相手、参加するグループ、見ている投稿は親には見えにくいものです。前の約束を守っているかだけを尋ねる前に、いま何が起きているのかを聞きます。
「最近、使っていて楽しいのはどんなとき?」「ちょっと面倒だなと思うことはある?」。両方を尋ねると、本人が続けたい部分も話題にできます。どちらか一つだけ答えてもらっても十分です。
「前は好きって言っていたでしょう」と矛盾を追及しなくてかまいません。子どもが「もうそのグループは見たくない」と言ったら、「今はそう感じているんだね」と、現在の希望として聞きます。
時間だけでなく、どの場面が引っかかるか
「SNSがよくない」という大きな話にする前に、一日の中の困る場面を一つ選んでみます。同じ利用時間でも、本人が変えたいことが同じとは限りません。
- 楽しい会話が続いていて、切り上げる時機だけ決めにくい。
- 返事を急がなくてもよいはずなのに、何度も確認してしまう。
- 見たい投稿はあるけれど、見終わると自分と比べてしまう。
- 必要な連絡を見ようとして、別の投稿まで見続けてしまう。
これらは会話の例で、子どもを分類するためのチェックリストではありません。当てはまるものを探させるより、本人の言葉で説明してもらいます。よく分からない日は「今はまだ分からない」で終えて大丈夫です。
親が見たことを伝えるときも、「SNSをするといつも不機嫌」より、「昨日、やめた後に元気がないように見えたけれど、何かあった?」と範囲を狭くします。SNSとは別の出来事が理由かもしれません。
続けたいことを残して、一つだけ調整する
使い方を変えるなら、本人が大切にしている用途を先に聞きます。友だちとつながる連絡まで一括でなくすのか、急ぎでない通知だけ減らすのかでは、選ぶ変更が違います。
たとえば、「必要な連絡は帰宅後に一緒に確認して、急がない投稿は後にする」「気になる投稿を見続けてしまう日は、その話題から離れる」。通知設定などを変える場合は、どの通知を残したいかを本人と確認します。
まず一つ選んだら、「次の週末に、やりにくくなったことがないか話そう」など、もう一度話せる機会を決めておけます。週末という間隔は研究で決まった正解ではなく、家で都合のよい例です。
最初の案が合わなくても、「決めたことを守れなかった」で終わらせず、必要な連絡まで見逃すなど不都合がなかったかを確かめます。変更を取り消すことも、別の案にすることも選択肢です。

半年差の研究で分かったことと、分からないこと
オランダの13〜16歳297人を対象とした研究では、SNS利用とその時の気分、自分への満足感、友だちとの親しさを、3週間ずつ、約半年離れた2回の期間に繰り返し尋ねました。利用とこれらの感じ方との関連は、人によっても、同じ人の調査時期によっても違っていました。原著論文
ただし、調査は2019年と2020年で、間に新型コロナの流行と学校閉鎖がありました。2回で利用時間の尋ね方も変わっています。したがって、「半年たつとSNSの影響が変わる」と一般化したり、原因をSNSだけに決めたりはできません。ルールの見直し方を試した実験でもありません。
この結果から家庭で考えられるのは、以前の一度の印象だけで、今後もずっと同じと決めないことです。ただし、毎日観察・記録を続ける義務が生じるわけではありません。本人から話が出たときや、具体的に気になった場面があるときに、聞き直すきっかけにできます。
変えることがない日も、話せる入口を残す
子どもが「今は困っていない」と答え、生活で具体的な困りごとも見当たらないなら、その場で新しいルールを足さなくてもかまいません。「変えたくなったら、また話そう」と伝えて終えられます。
反対に、本人が困っていると言ったときは、最初の相談で答えを全部出す必要はありません。「どの場面を一番楽にしたい?」と聞いて、できることを一つ選ぶ。SNSについての会話を、約束違反を指摘するときだけにしないための小さな方法です。
一次資料と編集方針
Pouwels, J. L., Beyens, I., Keijsers, L., & Valkenburg, P. M. Changing or stable? The effects of adolescents’ social media use on psychosocial functioning. Child Development, 96(2), 752–770. 2024年12月11日オンライン公開、2025年3〜4月号掲載。原著全文/DOI。確認日:2026年10月20日。
本文の声かけや家庭での工夫は、研究を踏まえて編集部が考えた提案です。その方法の効果を、この研究が直接確かめたわけではありません。できそうなものがあれば、一つから試してください。









