この記事の要点
- 自分で文章を読む本を探すときは、絵が多いか少ないかだけでなく、文章に出てくる出来事と絵が結びつくかも見てみます。
- 好きな絵本を取り上げたり、挿絵を全部隠したりする必要はありません。
- 簡素なページの本は選択肢の一つです。一人で読み切ることや、読後の正解を毎回求めなくて大丈夫です。
目次
表紙だけでなく、一つの見開きを一緒に見る
「自分で読んでみたい」と本を開くようになった。でも、ページの細かい絵に目が向き、文章を読み進めにくそう。そんなとき、本を選び直すなら、絵の枚数だけで判断せず、一つの見開きを一緒に開いてみる方法があります。
文章はどこにまとまっているか。書かれている場面が、絵ではどう描かれているか。子どもが「これなら読んでみたい」と思うか。すべてをチェックリストにせず、目の前で気になることから見られます。
たとえば、本文に主人公がボールを追いかける場面があれば、その動きが絵にも描かれているかを大人が眺めてみる。「この絵、さっき読んだところだね」と話すこともできます。ただし、毎ページ「文章と同じ絵はどれ?」と答えさせる必要はありません。
本人が文章の場所を見つけにくそうなら、文章がまとまった別の本も並べ、「こっちも見てみる?」と提案できます。今ある本や借りられる本から選んでよく、研究に合わせて買い替える話ではありません。
この記事は、自分で文字を読み始めた子の本選びを考えます。まだ文字を読まず、大人のお話を聞きながら絵を眺める読み聞かせ全体に、同じ選び方を求めるものではありません。
文字を読む時間と、絵を楽しむ時間は分けてもいい
細かく描かれた絵の中から、小さな動物を探したい日もあります。そこで文章が進まないからといって、その本が「よくない本」になったわけではありません。
「今日は、この絵を見たいんだね」と一緒に眺める。一文だけ読んで続きを大人に頼む。別の日に、文章を追いやすそうな本を開く。家庭では、その時間にしたいことを変えてもかまいません。
「自分で読むと言ったのだから最後まで」と約束にする必要もありません。途中で「読んで」と言われたら、大人が引き継ぐ、一緒に読む、そこで閉じるという終え方も選べます。
ここで挙げる本の見比べ方や声かけは、家庭で選べる編集部の提案です。この順序で行えば読む力が伸びると検証されたプログラムではありません。

「絵の少ない本」へ急いで進めなくていい
「もう小学生だから、絵のない本にしよう」と区切らなくても大丈夫です。今回紹介する研究にも、挿絵を全部なくした条件はありません。
本を開いたときの読みやすさと、好きかどうかは、両方を聞いてよいことです。大人にはすっきり見える本でも、本人は今の一冊を読みたいかもしれません。その場合は、好きな本を残したうえで、別の本も試せるようにするくらいから考えられます。
読みにくそうな場面があっても、その場の視線だけで「集中力が弱い」「この絵が原因」と決めつけないようにします。本の文字や言葉が難しいこともあるので、絵を減らすことだけを解決策にせず、必要なら大人が一緒に読めます。
研究は、物語と関係の薄い描き込みを除いて比べた
Engらが2020年9月28日に公表した研究では、米国の小学1・2年生60人が、一つの英語の物語を画面で読みました。同じ子が、通常の絵のページと、研究で物語に関係すると分類された絵を残し、それ以外の描き込みを除いたページの両方を読み、順番などを調整しています。[出典1]
描き込みを整理した条件では、文字から視線が移る回数が少なく、読んだ直後の内容理解の得点が高くなりました。大人が読み間違いなどを助ける実験で、誰の助けもなく一人で読み切った結果ではありません。
この結果から決められないこと
対象は一定の単語を読める子に限られ、平均年齢は約7歳半でした。一冊の英語の物語と画面での短い課題なので、日本語の本全般や長期の読む力への効果は分かりません。内容の確認には、覚えているかどうかも関わります。また、視線とは別に注意力を測る検査はしていません。[出典1]
また、この研究では絵をなくした場合との比較や、読む意欲への効果は確かめていません。「絵はないほうがよい」「細かな絵が好きな子は理解できない」とは言えません。
家庭で持ち帰れるのは、文字を読むための一冊を探すとき、絵と文章のつながりも選ぶ手がかりにできる、という視点です。お気に入りを残しながら、一つの見開きを一緒に見る。今は難しそうなら手伝うか、別の機会にする。それくらいの余地を残して選べます。
参考文献
- Eng, C. M., Godwin, K. E., & Fisher, A. V. (2020). Keep it simple: streamlining book illustrations improves attention and comprehension in beginning readers. npj Science of Learning, 5, 14. 公表:2020年9月28日。論文情報 / 著者公開の全文
資料確認日:2026年10月23日(日本時間)。









