この記事の要点
- 「みんなに見せる」以外の希望も聞く。まずは、この話を届けたい相手を本人の言葉で確かめます。
- 内容と相手を組み合わせて考える。同じ友だちにも、話題によって見せたい範囲を変えてかまいません。
- 投稿しないまま終えてもよい。今回の相談を、全投稿や友だち一覧の点検に広げる必要はありません。
目次
子どもに「これ、SNSに載せようかな」と相談されたら、まず「誰に見てほしい?」と聞いてみます。見せたい相手が浮かんだら、「その人たちには、どこまで話したい?」へ。投稿する内容を親が採点する前に、本人が伝えたいことと、見せたい範囲を分けて考える方法です。決まらなければ、今日は載せずに置いておけます。
この記事は、すでにSNSを使っている中高生の保護者に向けたものです。始める年齢や投稿後の反応ではなく、本人が投稿前に「誰に、何を見せるか」で迷っている場面を扱います。以下の声かけと場面例は編集部の提案で、効果が検証された手順ではありません。
「誰に見せたい?」は、一人ずつ名前を言わせる質問ではない
「友だちに見せたい」と言われたら、「同じ趣味の子たち? それともクラスの友だち?」くらいに聞けます。全員の名前や関係を説明してもらうための質問ではありません。
たとえば、描いた絵を見せたい子が「同じ作品が好きな友だちには見せたいけど、クラス全員にはちょっと」と答えたら、その希望から考えます。絵の出来を直すことや、「気にせず載せなよ」と励ますことを急がなくてもかまいません。
「その友だちには見せたいんだね。今考えている投稿先だと、ほかにどんな人が見る?」。話題を、作品の良し悪しから投稿先へ移してみる言い方です。
同じ相手にも、何でも見せなくてよい
見せる相手を一度決めたら、どの話も同じ範囲にしなければならない、という約束にしなくてかまいません。
編集部の場面例として、好きな本の感想は趣味の友だちに伝えたいけれど、自分が書きかけた物語は、まだ誰にも見せたくない場合を考えてみます。どちらも「同じ趣味の話」ですが、本人が見せたい範囲は別に選べます。
親は「仲がいいなら見せても平気でしょう」と決めず、「感想は話したいけど、物語はまだ自分だけにしておきたいんだね」と確かめられます。相手を嫌いかどうかの話にせず、今回の内容について聞く形です。
また、「見せたい相手が分からない」と言われたら、先に「何を伝えたかった?」と戻ってもよいでしょう。作品を見てほしいのか、同じ話題で話したいのか、自分の記録として残したいのか。記録が目的なら、投稿せずに手元へ残す案もあります。

見せたい範囲と、投稿先で見られる範囲を分ける
本人が「この話はこの人たちに」と決めたら、次に、考えている投稿先の公開範囲を確認します。「見せたい人」と「その投稿を見ることができる人」が同じか、という確認です。
親が代わりに画面を操作する前に、「公開範囲のところを一緒に確認する?」と聞けます。手助けを求められたら、その投稿に関係する設定を、使っているサービスの公式案内と実際の画面で確かめます。ここでは、特定のサービスのボタン名や操作手順は紹介していません。
希望する範囲にできるか分からない、思っていたより広い相手に見られる。その場合は、急いで投稿を完了させず、いったん保留にできます。特定の相手に会ったときに見せるなど、SNSへ載せる以外の方法も、本人が望むなら候補になります。
相手を選ぶことを、「これなら必ず安全」という保証にはしません。ここで考えているのは、本人の共有したい範囲と投稿先を合わせることです。
研究でも、話題に合う相手を選びたい声があった
2025年に発表された米国の研究では、10代19人への個別インタビュー、1週間の日記調査、参加者とSNSの仕組みを考える共同設計が行われました。参加者には、フォロワーの全員を同じように信頼しているわけではなく、投稿をためらうという語りがありました。また、相手に悪意があると感じていなくても、趣味の話を見せる相手を選びたいという声がありました。原著論文
これは少人数の経験を詳しく調べた質的研究です。参加者は全員Instagramを利用しており、女子と年長の10代に偏っていました。日本の中高生全体の傾向や、特定の設定でトラブルが減る効果を示したものではありません。親子の声かけの効果も検証していません。
さらに、この研究はスクリーンショットによる持ち出しや、プライバシー侵害への対策を調べたものではありません。研究で語られた「共有しやすさ」と、情報が漏れないことは分けて読む必要があります。家庭では、「内容が悪いから迷っている」と決めつけず、見せる相手についても聞くきっかけとして受け止められます。
「今日は載せない」も、その子が選べる答えにする
話しているうちに「やっぱり載せなくていい」となったら、理由を最後まで説明させなくても大丈夫です。「分かった。今は残しておこう」で終えられます。投稿できたことを、話し合いの成功条件にする必要はありません。
反対に、親に作品や文章そのものを見せず、公開範囲だけ相談したいこともあるでしょう。その相談に必要な部分だけ一緒に確認する方法があります。すべての投稿を親が事前に見る仕組みまで、今回の会話で作らなくてもかまいません。
次に相談されたときの最初の一言は、「それ、誰に見てほしい?」。本人が話したい範囲で、今迷っている一件を一緒に考えてみてください。
一次資料と編集方針
- Kim, J., Wolfe, R., Subramanian, R. B., Lee, M.-H., Colnago, J., & Hiniker, A.(2025)Trust-Enabled Privacy: Social Media Designs to Support Adolescent User Boundary Regulation. Twenty-First Symposium on Usable Privacy and Security, 495–514. 2025年8月発表。会議の掲載ページ/原著全文。方法は3節、紹介した結果は4.1.3節と4.2.3節、限界は5.4節。確認日:2026年10月22日。
- 年齢は要旨と参加者一覧で13〜18歳、方法本文で13〜19歳と記載が異なるため、本文では「10代」としています。調査実施年月は論文本文から確認できず、2025年は発表年です。
- 研究の内容は編集部が要約しました。著者公開版はCC BY 4.0で公開されています。声かけ、絵や本などの場面例、家庭での工夫は編集部による提案で、研究参加者の発言や、研究で効果を確かめた方法ではありません。









