この記事の要点
- うまくいかないときは、短く言葉にできる: 「ここがうまく折れないね」など、今困っていることを話せます。いつもすぐに成功する姿を用意しなくて構いません。
- 続けるなら、次に試すことを一つ: 「向きを変えてみる」「説明をもう一度見る」。努力の大切さを長く説くより、目の前の作業について話す方法があります。
- 休む、別の大人に聞く、今日は終えるのも選択肢: 粘り強い姿を見せるために続ける必要はありません。子どもに親を励ましたり、困り事を解決したりする役を任せなくて大丈夫です。
目次
折り紙の説明を見たのに、思った形にならない。子どもの前だから、すぐに完成させて見せたい。そんな場面でも、あわてて「できたふり」をする必要はありません。
「私もちょっと分からなくなった。ここを見直してみるね」と言って、目の前のことを確かめられます。この記事では、遊びや小さな作業で大人がつまずいた場面を扱います。
「何が難しいか」を、目の前の言葉で
「もう全然だめ」「私は不器用だから」で終わらせる代わりに、困った部分をそのまま言う方法があります。
折り紙なら「この角がそろわなかった」。積み木なら「上に載せたら傾いた」。気づいたことを一つ伝えるだけでも、何をしているのかが分かる会話になります。
子どもが見ていないときまで呼び寄せたり、実況を続けたりする必要はありません。話が通じる言葉の量や、そのときの関心に合わせてください。

続けたいときは、試し方を一つ変える
まだやってみたいなら、「一度開いて、ここから折り直すね」「説明の前の絵を見てみよう」と、次の動作を言葉にできます。
変えたあとにうまくいったら、「向きを変えたら合ったね」。うまくいかなかったら、「これでも合わなかったね」と、その結果を確かめます。必ず成功の話にまとめなくても構いません。
子どもから案が出たら、安全にできる範囲で一緒に考えられます。ただし、「どうしたらいいか考えて」と、親の作業を子どもの課題に替える必要はありません。見ているだけ、ほかの遊びをしているだけでもよい場面です。
休むときも、助けを借りるときも
続ける時間がない、疲れた、今の道具では難しそう。そんなときは、作業をいったん終えてよいでしょう。
これは、休憩や相談が子どもの能力を伸ばすと示した手順ではありません。家庭で大人が無理をせず作業するための、編集部の例です。
危険な修理を子どもの前で試したり、大人の深刻な悩みを解決させたりする場面には当てはめません。子どもに安心させてもらうために、困った様子を見せる必要もありません。
「手本のための失敗」は用意しなくていい
わざと失敗してから頑張るところを見せる。できることを、あえて難しそうにしてみる。この記事は、そんな演出を勧めるものではありません。
実際に困ったときに、今起きたことを短く伝える。そのくらいに考えれば、毎日の家事や遊びに、新しい指導の仕事を増やさずに済みます。
いつも落ち着いて説明できるとも限りません。思わずため息が出たなら、それだけを取り返そうとして長い話を始めなくても大丈夫です。
研究が調べたのは、成功までの過程と直後の試行
2017年の米国の研究では、生後13〜18か月、平均約15か月の子どもを対象に、大人が二つの課題をすぐにできる場面と、いろいろ試してからできる場面などを見せました。三つの実験の分析対象は計262人です。その後、子どもには大人とは違う玩具を渡し、ボタンを押す回数を調べました。原著の情報
最初の実験と追試では、大人が試行を重ねて成功するのを見た条件で、すぐ成功するのを見た条件よりボタンを押す回数が多くなりました。一方、子どもへの視線や呼びかけなどを省いた実験では結果が弱く、すべての指標で同じ差が出たわけではありません。
大事なのは、実演した大人が、どちらの条件でも最後は成功していたことです。「失敗したまま終える」「休む」「人に聞く」姿の効果を、この研究が確かめたわけではありません。調べたのも直後の短い課題で、家庭での長期的な粘り強さや、学齢期の成績を示すものではありません。
研究から日常の手本を一つに決めず、大人にも難しいことがある場面を、無理なく言葉にするヒントとして考えられます。
参考資料
- Leonard, J. A., Lee, Y., & Schulz, L. E.(2017)Infants make more attempts to achieve a goal when they see adults persist. Science, 357(6357), 1290–1294. 著者公開の原著PDF・補足資料PDF









