この記事の要点
- 水平な場所で同じ物を使い、影の長さと向きを比べる。
- 日付・時刻・場所・天気を記録し、12時が必ず最短とは決めない。
- 太陽を直接見ず、大人と一緒に地面の影だけを観察する。
目次
朝と昼の影を比べるなら、同じ日に、同じ場所で、同じ物の影を測るのが出発点です。水平な地面にまっすぐ立つ物では、太陽が空の低い位置にあるほど影は長く、高い位置にあるほど短くなります。まずは長さと向き、それを見た時刻を一緒に記録してみましょう。
1.影が変わる鍵は、太陽の「空での高さ」
ここでいう太陽の高さは、地面から太陽までの距離ではありません。地平線の方向から、空のどのくらい上に見えるかという角度です。低い位置から光が差すと、物の先端を通る光は遠くの地面まで届きます。高い位置から差すと、影の先端は物の根元に近づきます。
国立天文台の資料では、影の長さは物の高さと太陽の高度から求められます。同じ物を使うのは、物自体の高さの違いを混ぜずに、光が差す角度の違いを比べるためです。影は太陽とは反対側にできます。長さだけでなく向きにも注目すると、観察できることが増えます。[1]
2.空を見上げず、地面の影を観察する
太陽は直接見ないでください。位置を確かめようとして見上げる必要もありません。国立天文台は、肉眼で太陽を見ることは短い時間でも目を傷める危険があると注意しています。サングラス越しなら大丈夫、ということもありません。[4]
ここからの手順は、資料をもとにした編集部の家庭向け提案です。大人と一緒に、車や自転車が通らず、影を追って道路へ出る心配のない場所を選びます。平らで水平に近く、朝と昼のどちらも日が当たる場所が向いています。暑さや寒さに合わせて、観察は短時間で切り上げて構いません。
用意するのは、先のとがっていない不透明な棒、倒れない台、巻き尺、時計と記録用紙。棒は大人が台に垂直に固定します。ガラスや鏡、虫眼鏡は使いません。人の影でも違いには気づけますが、姿勢や立ち位置が変わるので、長さを測るなら固定した棒のほうが比べやすくなります。

3.同じ起点から測り、時刻をセットで残す
まず台を動かさない位置に置き、棒の真下に当たる地面上の位置を、測る起点として決めます。朝の観察では、その起点から影の先端まで、地面に沿って長さを測ります。棒の高さは、台の上からではなく、地面から棒の先端までを記録します。「長い」「短い」だけでなく、何センチだったかも書けると、あとで比べやすくなります。先端がぼんやりしていたら、無理に細かい数字を決めず、その状態も残します。
昼ごろに戻って、同じ起点からもう一度測ります。たとえば朝9時ごろと昼ごろに観察し、実際に測った時刻を分単位で記録します。日付、場所、天気、棒の高さ、影の長さを一組にしておけば、「いつ、何を比べたか」が分かります。葛飾区郷土と天文の博物館でも、同じ物の影を時刻ごとに調べ、日付や天気などを記録する観察例を紹介しています。[3]
影の向きは、固定した紙に測る起点と影の先端を記したり、動かない目印と一緒に撮影したりして残せます。写真だけで長さを比べると撮る位置の違いが紛れ込むため、実測値も添えましょう。紙や台を途中で回したときは、そのことをメモします。
記録用紙は「日付と場所」を上に書き、その下に朝と昼の欄を作るだけでも十分です。数字を書きにくい子は、影の先端に印をつけ、大人が測った値を書き添える形にできます。メモには「細い影」「先が丸い」など、本人が見つけたことも残してみましょう。これは家庭での観察を進めるための工夫であり、特定の学習効果を保証する方法ではありません。
4.「昼12時ならいちばん短い」と決めない
日本の多くの地域では、太陽が南の空で最も高くなる南中のころに、水平な地面に立つ棒の影は最も短くなります。ただし、南中は時計の12時ちょうどとは限りません。国立天文台の解説では、南中時刻は日によって変わります。場所の違いも関係するため、全国で同じ時刻になるわけではありません。[2] [1]
朝と昼の2回だけ測った場合に言えるのは、「測った2回では、こちらのほうが短かった」までです。その日の最短の影を見つけたとは限りません。もう少し調べたくなったら、昼前後の記録を増やす方法があります。間隔と時刻を決め、同じ条件で測ってみましょう。
一方で、何度も測ることを最初から目標にしなくても大丈夫です。今日は2回だけ比べて終え、別の日に「短くなったあとはどうなる?」を調べてもよいでしょう。その場合も、同じ日の中で測った組を分けて残すと、異なる日の数字を取り違えずにすみます。
5.予想と違ったら、比較した条件を見直す
昼の影が思ったほど短くならなくても、すぐに失敗と決める必要はありません。棒が傾いた、置き場所が変わった、影が段差や斜面に伸びた、雲がかかった。そんな違いがなかったか、記録を親子で確かめます。影が見えなかった日は「曇って測れなかった」も観察の結果です。
また、朝は今日、昼は別の日という比べ方では、時刻の違いだけでなく日付の違いも入ります。季節が変われば、同じ時刻でも太陽の高さは変わります。博物館の教材にも、9月と12月の昼の影を比べた例があります。まず一日の中で比べ、季節の違いは別の問いとして残しておくと、話が整理できます。[3]
声をかけるなら、「どっちが何センチ短かった?」「向きも変わった?」「次は何を同じにして測ろうか」。正解を急ぐより、目の前の記録から言えることを一つ選んでみてください。太陽を見上げなくても、足元の影から、時間とともに変わる光の差し方を考えられます。
室内の光源との距離による影の変化は、関連記事の家の中で楽しむ光と影の遊びで紹介しています。屋外の太陽高度による変化とは、条件を分けて比べましょう。
参考資料
- [1] 国立天文台 暦計算室「太陽の高度,方位角および影の位置の概略値の求め方」。2005年の計算例を含む資料。
- [2] 国立天文台「太陽の南中時刻は日によって変わるの?」。公表・更新日不明。
- [3] 葛飾区郷土と天文の博物館「冬休み星の学校2020 読んで学ぶ」。冬休み星の学校2020の教材。
- [4] 国立天文台「観察のしかた」。公表・更新日不明。
資料確認日:2026年11月7日。天文台の解説と博物館の観察教材を基に整理しました。過去の計算例や教材の数値を本日の観察値としては使っていません。家庭向けの手順や声かけは編集部の提案です。









