この記事の要点
- 歩く間の衝撃と揺れが関わります:靴が地面に当たる衝撃と、ひもの輪や端が揺れる動きが重なり、結び目が緩んでほどける場合があります。
- 話すのは、安全に止まってから:ほどけたら先に結び直します。理由が気になれば、脱いだ靴で輪と端を見るだけでもかまいません。
- 子どもの技能を調べた研究ではありません:物理実験の結果を、何歳なら結べるか、どの結び方なら絶対ほどけないかという答えにはできません。
歩くときの衝撃と、揺れるひもの動きが組み合わさり、結び目が少しずつ緩んで、端が引き抜かれることがあるためです。「さっき結んだのに、どうして?」にも、歩いている間に加わる力が関わっています。
ほどけたときは、まず安全な場所で止まり、必要なら大人が結び直します。理由の話はそのあとで十分です。ほどけるまで歩いたり走ったりして、確かめる必要はありません。
衝撃と、揺れるひもの働きが重なる
結んだ靴ひもには、輪になった部分と、結び目から出た端があります。歩いたり走ったりすると、靴が地面に当たるたびに衝撃が伝わり、輪や端も揺れます。
動いている物がその動きを続けようとする性質を「慣性」といいます。足の動きが変わっても、ひもの輪や端は動き続けようとするため、結び目に力が加わります。
2017年の研究では、繰り返す衝撃で結び目が変形し、ひも同士の摩擦で滑りにくくしていた働きが弱まる、というしくみが提案されています。そこへ輪と端の慣性の違いが重なると、端が結び目を通って少しずつ引き出されると考えられています。〔研究〕
端が長くなり、輪が小さくなると、その違いがさらに大きくなり、最後は急にほどける場合があります。研究の撮影では、しばらく結ばれた状態が続いたあと、短い間に輪がほどける様子が見られました。いつも同じ歩数でほどける、という意味ではありません。
安全に止まったあとで、輪と端を見る
子どもが理由を知りたがったら、家で脱いだ靴を置き、「ここが輪で、こっちが端だね」と指で示せます。実際にほどけさせなくても、どの部分の話かを一緒に見るだけで十分です。

「歩くと、靴には地面からの衝撃が加わるし、ひもも揺れるんだね」。これは研究を踏まえた編集部の会話例です。子どもに説明を言い直してもらったり、結ぶ練習へ続けたりする必要はありません。
ひもに重りを付ける、靴を踏みつける、緩めたまま歩くといった再現実験はしません。今は話したくなければ、結び直して、その話は終えてかまいません。
研究で確かめた範囲と、まだ分からないこと
米国カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、ボランティア走者1人の靴ひもを高速度カメラで撮影しました。年齢は記載されておらず、子どもを集めた調査ではありません。
その観察や靴の加速度測定をもとに、振り子型の装置を使い、ひもの端に付ける重りや衝撃の向き、結び目の構造を変えて、ほどけ方を調べました。結び目の構造による違いも見られています。〔原著全文〕
ただし、装置の実験で使ったひもは同じ仕様で、素材や表面の仕上げの違いは調べていません。靴で起こる動きのすべてを再現したわけでもなく、結び目の変形など、詳しい過程にはまだ検証が必要な部分があります。
この研究だけで、目の前の靴ひもがほどけた原因を一つに決めたり、どんな靴でもほどけない結び方を示したりはできません。子どもの器用さや、家庭での会話による学習効果を調べたものでもありません。
結んだあとも、ひもには力が加わっている。そんな身近なしくみを、気になったときに一緒に話せます。
参考にした研究
Daily-Diamond, C. A., Gregg, C. E., & O’Reilly, O. M.(2017)The roles of impact and inertia in the failure of a shoelace knot. Proceedings of the Royal Society A, 473(2200), 20160770. オンライン公表:2017年4月12日。 DOI: 10.1098/rspa.2016.0770 / 原著全文
資料確認日:2026年10月26日









