この記事の要点
- 「=」は、左と右の値が同じであることを表す記号です。
- 空欄で迷ったら「左と右は、それぞれいくつ?」と、式全体を一緒に見てみましょう。
- 一問の正誤で理解を決めつけず、どこを見て考えたのかを聞くきっかけに。
「=」の左右を、ひとまとまりずつ見る
小学生の子どもが、計算はできるのに、空欄の場所が変わると迷う。そんなときは、問題を増やす前に「=の左と右は、それぞれいくつかな?」と一緒に見てみませんか。等号「=」は、答えを書く場所を知らせるだけの印ではなく、左と右の値が同じであることを表す記号です。
たとえば「3+4=5+2」。左の「3+4」は7、右の「5+2」も7です。右側に計算があっても、両方が同じ値なので、この式は成り立ちます。「=の向こうにも、計算があっていいんだね」と確かめられます。
ここからの式と声かけは、意味を説明するために編集部が作った例です。研究で使われた問題や、実際の親子の会話を再現したものではありません。

空欄の位置を変えても、「同じ」を確かめる
同じ式の一部を空欄にすると、次の二つになります。
- 3+4=5+□ → □は2。右側も7になります。
- 3+4=□+2 → □は5。こちらも右側は7になります。
二つ目で□に7を入れたら、すぐに「違う」と直す代わりに、「3+4で7と考えたんだね。では、右の7+2はいくつかな?」と聞いてみる方法があります。左は7、右は9。「両方が同じになるには、ここに何を入れようか」と、式全体に戻ります。
空欄に書く数は、いつでも左側の計算の答えとは限りません。大切なのは、数を入れたあとに、左右が同じ値になっているかです。正解した場合も、「どうやって考えた?」と聞けば、見ていた場所を言葉にできます。
言葉だけで難しい日は、丸を描いてもいい
「左と右」と言われても見づらそうなら、紙の上で「=」をはさんだ二つのまとまりを指で示してみましょう。3個と4個の丸、5個と2個の丸を描いて、それぞれ数えてもかまいません。どちらも7個になることを、式と見比べるための工夫です。
問い続けるより、「ここは一緒に数えてみようか」と大人も手を動かしてみる。子どもが疲れていたら、その日は式を一つ見たところで終えても大丈夫です。できるかどうかを試す時間にしなくても、記号の意味を話題にできます。

大人が途中の計算を書くときにも、等号でつなぐ部分を確かめておきましょう。たとえば、3+4のあとに2を足す過程を「3+4=7+2=9」と書くと、最初の部分は7、次の部分は9で、同じ値にはなりません。「3+4=7」「7+2=9」と分けて書けば、各式の左右は同じになります。
ここで紹介した声かけや丸を描く方法は、家庭で試せる説明の例です。この順番で教えれば理解が深まると、以下の研究で効果が確かめられたわけではありません。
研究では、式の形によって見方が揺れていた
2026年9月に公表されたSunらの研究は、中国の4校に通う小学1年生1,008人の19項目への回答を、問題の難しさと子どもの回答傾向を同じ尺度で捉えるRaschモデルで分析しました。そのうえで、等号を計算結果の合図として見る考えと、左右が同じと見る考えが併存すると分類された子ども20人に面接しました。
結果では、等号の直後に数がある式では左右の関係を考えられても、直後が空欄になると左側の計算結果を書こうとするなど、式の形によって考え方が揺れるパターンが見られました。すべての子どもが同じ反応をしたわけではなく、数の組み合わせによって解ける例もありました。原著論文を読む
これは、家庭での教え方の効果を比較した実験でも、同じ子どもの成長を長期に追った研究でもありません。調査した学校や学習環境は限られており、日本の小学生にどのくらい当てはまるか、家庭での説明がつまずきの原因なのかは、この研究だけでは分かりません。研究上の分類も、年齢ごとに進む発達段階を示したものではありません。
一問の正誤だけで、「理解していない」「もう理解した」と決めつけず、どこを見て考えたのかを聞いてみる。この記事では、そんな会話のきっかけとして研究を紹介しています。まずは「左右は、それぞれいくつ?」の一言からで十分です。
出典
Sun, J., Sun, X., Stephens, M., Hua, R., & Cao, Y.(2026)Exploring the complexity of students’ inconsistent relational understanding of the equal sign. Mathematics Education Research Journal.(2026年9月2日公開、2026年10月30日確認)









