家族で画面を見る時間を減らした研究では、子どもの行動や感情について、親が答えた質問票に短期的な改善が見られました。ただし、「少し減らせば必ずよくなる」「どの家庭も同じ時間にすべき」と分かったわけではありません。
家で考えるなら、先に「何分減らすか」よりも、「どの時間を取り戻したいか」「どの利用は残したいか」を話してみる方法があります。仕事、学習、連絡、支援に必要な使い方まで減らすための提案ではありません。
この記事の要点
- デンマークの研究では、家族単位で余暇の画面利用を大幅に減らした2週間に、親が報告する子どもの行動・感情の尺度が改善しました。
- 端末を研究者へ預け、代替の電話を受け取るなど、日常とは違う条件でした。実験の上限は家庭への推奨量ではありません。
- 家庭で見直すなら、必要な利用を残して、今困っている一場面から。小さな変更に同じ効果があると保証する研究ではありません。
目次
減らす前に、「空けたい時間」を考える
「スマホを減らしたい」と思う理由は、家庭によって違います。寝る支度が遅れる、休日にやりたいことが残る、親も子も気づくと画面を見ている。最初はその出来事を一つだけ言葉にしてみましょう。
たとえば「日曜の午後に、一緒におやつを食べる時間を作りたい」なら、その時間の使い方を相談できます。一方、「周りの子より長い気がする」だけなら、すぐに大幅な制限へ進まず、何に使っているのかを聞くところからでもかまいません。
画面を使う中にも、友だちとの交流、好きな作品を楽しむ時間、創作や調べものがあります。減らすことだけを成功にせず、本人にとって残したいものも一緒に扱います。
仕事・連絡・学習・支援の利用は先に分ける
家族全員が同じ分数にそろえる必要はありません。親の仕事連絡、学校からの連絡や課題、離れて暮らす家族との会話、読み上げなどの支援機能は、それぞれ役割が違います。
- 残す利用:何のために必要なのか、親子で確認する。
- 調整したい利用:本人も長くなりすぎたと感じる場面や、予定とぶつかる場面を選ぶ。
- 例外:急ぎの連絡、体調や予定の変化があるときは、元の約束を見直せるようにする。
医療や障害に関する支援に使っている機能を、この記事を理由に止めないでください。必要な支援の利用は守り、調整が必要なら関わっている専門職などに確認します。親が仕事で端末を使う場合も、子どもと同じ量にできないことを、隠さず説明してかまいません。
家庭で考えられる、小さな見直しの例
以下は編集部が提案する、任意の話し合いの例です。後で紹介する実験と同じ方法でも、治療や改善効果が確認された手順でもありません。困っていなければ、新しい課題として始める必要はありません。

場面を一つ選ぶ
「家にいる間ずっと」ではなく、「一緒におやつを食べる間」「出発の支度をする間」など、目的が見える場面を選びます。大人もその間に急がない画面を閉じられるなら、一緒に参加する案を出せます。
空いた時間を、予定で埋めなくてもよい
画面を閉じたあとの選択肢は、外遊びや読書だけではありません。お茶を飲む、何もしない、短く話すなど、準備が少ないものでもかまいません。親が毎回、魅力的な遊びを用意する約束にしないほうが、家族の負担も見えやすくなります。
時間の数字より、暮らしの変化を聞く
試したあとには、「予定に間に合った?」「連絡で困ったことはあった?」「続けたい、変えたい、やめたい?」と確認できます。親がよかったと思っても、子どもには必要なやり取りがしづらかったかもしれません。
うまくいかなかったら、本人の意志が弱いと決めず、場面や方法を変える余地を残します。大人の見張りや親子げんかが増えてしまうなら、いったん元に戻して考え直してもよいでしょう。毎日の詳細な記録も必須ではありません。
次の動画が自動で始まることが困りごとなら、時間の約束とは別に動画の自動再生設定を確かめる方法もあります。設定と本人の使いたい理由を、別々に見てみましょう。
SCREENS研究は、どんな実験だった?
2024年7月公表のSCREENS研究の二次解析(原著)は、デンマークの89家庭、4〜17歳の子ども181人を対象にしました。家族を無作為に、余暇の画面利用を減らす群と、通常どおりに過ごす群に分けた研究です。子どもの平均年齢は、減らす群が8.6歳、比較群が9.5歳でした。
減らす群は2週間、子ども全員と少なくとも大人1人がスマホやタブレットを研究者に預け、余暇の画面利用を1人週3時間以内にするよう求められました。通話やSMSができる代替の電話が渡され、記録や掲示物なども用いられました。必要な課題や予定調整などの利用は、別の枠で認められていました。
2週間後、親が回答するSDQ質問票の総合的な困難さの得点は、減らす群でより改善しました。0〜40点の尺度で、変化量の群間差は1.67点でした。これは集団の平均的な差であり、すべての子どもに同じ変化が起きたという意味ではありません。
実験の「週3時間」を、家庭の目標にしない
この研究は、条件を整えて大幅に減らしたときの短期的な変化を調べています。週3時間は実験の条件であり、安全と危険を分ける境界でも、日常に勧める上限でもありません。研究者も、そのまま長期間続けるために設計した介入ではないと説明しています。
- 長期の持続性は不明です。2週間の結果から、数か月後や数年後までは分かりません。
- 子どもの変化は親の回答で評価しました。親は自分たちがどちらの群か知っていたため、期待が回答に影響した可能性があります。
- 参加を希望し、機器を預けられる家庭の結果です。すべての生活条件に当てはまりません。
- 睡眠障害や神経発達・精神神経に関わる障害などがある参加者は対象外でした。支援が必要な子どもにも同じ結果になるとはいえません。
また、家族の参加、端末を預けること、画面以外の過ごし方など、条件がまとめて変わっています。「スマホを何分減らした部分だけが効いた」「親も参加したことが効果の原因」と、この研究だけで分けて判断することはできません。
減った分数だけで、親子の成果を決めなくてよい
研究は、家族の画面利用を見直すと短期的な変化が起こりうることを示しています。同時に、家庭向けの万能な時間表を示したわけではありません。
わが家で考えるときは、「残したい使い方」と「変えたい場面」を一つずつ。必要な連絡や支援を損なわず、親子に無理がないかを確かめることを先に置いてよいのです。
一次資料
Schmidt-Persson Jほか(2024). Screen Media Use and Mental Health of Children and Adolescents: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial. JAMA Network Open, 7(7), e2419881. DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2024.19881. 2024年7月12日公開。
資料確認:2026年10月20日。日常生活を考えるための情報で、診断や治療の提案ではありません。









