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読み聞かせで文字を指さしてもいい?

絵本の文字を指さすなら、読めるか試すより、今読んでいる場所を短く示す方法も。題名や気になった文字への声かけと、海外の園で行われた研究の限界を紹介します。

この記事の要点

  • 気になった文字を、短く示しても: 題名や子どもが見つけた文字を指して、大人が読んでみる方法があります。
  • 毎ページ、読めるか確かめなくていい: 全文を指で追わせたり、同じ言葉を言わせたりする課題にする必要はありません。
  • お話を聞きたければ、いつもの読み方へ: 文字の話は選択肢の一つです。家庭で行う回数や、日本語の読みへの効果が確かめられた方法としては紹介していません。

目次

絵本を読むとき、今読んでいる文字を指で示してもよいのでしょうか。気になった文字にそっと指を添えて、「ここには、こう書いてあるね」と大人が読む関わり方は選べます。ただし、子どもに文字を追わせ続けたり、読めるかを毎回確かめたりする必要はありません。

主に4〜5歳ごろの子どもとの読み聞かせを考えます。絵やお話に夢中なら、そのまま続きを楽しんでも。文字に注意を向けることを、読み聞かせの新しい決まりにしなくて大丈夫です。

「何て読む?」と聞く前に、大人が読んで見せる

文字を指さす場面にも、いろいろあります。大人が「これ、読める?」と答えを待つ場合と、「今ここを読んでいるよ」と場所を示す場合では、子どもに求めることが違います。

文字をまだ読まない子なら、大人が読んで見せるだけでも、その場のやり取りになります。子どもが声に出したり、文字の名前を答えたりするところまでを一組にしなくても構いません。

たとえば、子どもが「どこ読んでるの?」と尋ねたら、該当する場所を指して「ここだよ」と答え、続きを読みます。絵を指して「こっちは?」と話し始めたら、そちらへ戻ることもできます。

文字の話を添えるなら、こんな場面で

次の三つは、家庭で選べる編集部の提案です。研究で一つずつ効果が確かめられた手順でも、毎回そろえるチェックリストでもありません。

表紙の題名を読むとき

題名のあるところを示しながら、「この本の名前は、○○だね」と読んでみます。題名の役割に短く触れたら、本を開いてお話へ進めます。文字を一字ずつ当ててもらう必要はありません。

大きな文字やふきだしを、子どもが気にしたとき

「これ、何?」と文字を指したら、書かれている部分を示して読みます。ふきだしなら「この人が、こう言っているんだね」と、登場人物とのつながりに触れることもできます。

子どもが気にしているのが文字ではなく絵なら、文字へ話を戻さなくてもよいでしょう。ページに書かれていない言葉を、書いてあるように説明しないことも大切です。

読んでいる場所を知りたがったとき

「ここから読んでいるよ」と、その本の文章の並びに沿って場所を示せます。日本語の絵本には縦書きも横書きもあるので、いつも同じ方向へ指を動かす決まりにせず、目の前のページを見て話せます。

親が絵本に書かれた「くま」の文字へそっと指を添え、子どもが見ているイラスト。
気になった文字の場所を示したら、お話の続きへ戻っても。家庭での関わり方を表すイメージです。

「先を読んで」と言われたら、文字の話はおしまい

文字を示したところで「続き!」「もう分かった」と言われたら、「続きを読もうか」と戻れます。絵を隠すほど指を置き続けたり、子どもの顔を文字へ向けたりしなくて構いません。

何も答えないときも、反応が出るまで問いかけ直す必要はありません。聞いていたいのかもしれませんし、別のところを見ているのかもしれません。文字を見なかった一場面で、理解や成長を判断しないようにします。

親が疲れている日は、普段どおり読むだけでも。今日は文字の話をしなかった、と後から取り戻す課題にはしません。

毎ページ必要? ひらがなが読めなくてもいい?

毎ページ指さしたほうがいい?

家庭で何回、何ページ行えばよいかは、ここで紹介する研究からは決められません。気になったところだけ示す、今日は示さず読む、と選べます。「少しなら必ず効果がある」という意味でもありません。

文字を全部なぞったほうがいい?

読み聞かせのたびに、全文を指で追う決まりを作る必要はありません。「どこ?」と聞かれた場所を示したあと、指を離してお話を進めてもよいでしょう。

ひらがなをまだ読めない場合は?

子どもに読ませず、大人が題名や気になった文字を読む方法を選べます。ただし、これを入学までの練習計画にしたり、読み始める時期の目安にしたりはしません。

研究では、園の読み聞かせプログラムが調べられた

2012年に報告された米国の研究では、主に4歳の子ども550人、85クラスを対象に、文字へ注意を向ける読み聞かせを調べました。クラス単位で方法を割り当て、教師が30週間実施しています。

指さしだけではなく、文字の役割や本の構成などについての言葉かけも含むプログラムです。教師への研修や教材、実施を支える助言もありました。比較相手も通常の読み聞かせをしており、「読む家庭」と「読まない家庭」の比較ではありません。

週4回のプログラムを受けた群は、通常の読み聞かせ群より、終了1年後と2年後の読み・つづり・理解のテストで平均的に高い成績を示したと著者らは報告しています。一方、週2回の群で有意な差が確認されたのは、2年後のつづりのみでした。原著論文

なお、米国の教育研究レビュー機関WWCは、同じプロジェクトの2010年報告を対象とするレビューで、直後の文字知識・言語の結果を「統計的に有意でない」と整理しています。2012年論文の長期追跡とは、測定時期と評価対象が違います。二つを別々の再現研究として数えることもできません。WWCの研究レビュー

ただし、追跡調査に参加できなかった子どもも多く、2012年のWWCによる検証でも、比較ごとのデータの確かさに留保が示されています。著者が報告した差を、どの比較でも同じ確かさの結果として受け取らない注意が必要です。追跡研究に対するWWCの検証

また、英語を使う園の集団での結果です。親が一度指さすことの効果や、日本語の家庭で同じ結果が出ることを示してはいません。週4回という研究条件を、そのまま家庭のノルマにする理由もありません。

この記事の声かけは、こうした研究で扱われた「文字に目を向ける関わり」を、日常の選択肢として考えたものです。研究のプログラムを家庭用に再現した方法ではなく、読解力の向上を約束するものでもありません。

文字が気になった日も、お話を楽しみたい日も

題名を指して読んでみる。子どもに聞かれた文字を示す。そのあと「続きを読もう」と戻る。文字の話をするかどうかは、一緒に開いている本と、そのときの関心に合わせて選べます。

文字を教える準備を増やすより、「聞かれたら、書いてある場所も見せられる」と考えてみる。そのくらいの余地を残しながら、いつもの絵本の時間を続けられます。

参考文献・資料

Piasta, S. B., Justice, L. M., McGinty, A. S., & Kaderavek, J. N.(2012). Increasing Young Children’s Contact With Print During Shared Reading: Longitudinal Effects on Literacy Achievement. Child Development, 83(3), 810–820. 原著論文(DOI) / 書誌情報・要旨。2012年4月17日オンライン公開。

What Works Clearinghouse. Piastaら(2012)の研究検証(2012年10月)。追跡研究の脱落と比較の確かさに関する評価。

What Works Clearinghouse. Justiceら(2010)の研究レビュー(2022年1月レビュー)。関連する初期報告の方法と直後の結果を確認。

What Works Clearinghouse. Shared Book Reading, Intervention Report(2015年4月)。初期結果と追跡結果を分けた記載を参照。

資料確認日:2026年10月20日(日本時間)

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