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自由研究の実験、何をそろえて比べる?

自由研究の実験で、何を変えて何をそろえればいい? 身近な紙の比較を例に、問いを小さくする方法、条件のメモ、予想と違う結果の扱いを考えます。国内の授業研究の限界も整理しました。

この記事の要点

  • 知りたいことを、一つの比較にする: 「何を変えると、何が違うだろう」と言える形にします。最初から大きなテーマを全部調べなくてもかまいません。
  • 変えることと、そろえることを書き分ける: 一度にいくつも変えると、何が違いに関係したのか考えにくくなります。比べたい条件を決めてみます。
  • 予想と違っても、記録を残す: 思いどおりの結果に直すより、実際に起きたことと条件を見直します。分からなかったことも次の問いになります。

目次

自由研究で「紙の落ち方を調べたい」と言った子ども。紙の種類も大きさも、落とす高さも変えて試していると、たくさんの違いは見つかっても、何が関係しているのか整理しにくくなります。

親が実験方法を全部決める前に、「今回は何を比べたい?」と、問いを小さくする手伝いができます。ここでは主に小学校中学年以降の子どもと、身近な物の違いを比べるときの考え方を紹介します。

自由研究には観察や調べ学習など、いろいろな進め方があります。どの研究にも実験が必要ということではありません。

最初に「何の違いを見たいか」を決める

たとえば、同じ大きさ・種類の紙を用意して、一方は平らなまま、もう一方は丸めて、落ち方を見てみる。「紙の形が違うと、落ち方はどう違うだろう」という問いなら、何を見たいかが具体的になります。

ここで、片方だけ厚い紙を使ったり、大きさも変えたりすると、形と紙そのものの違いが重なります。「いま比べたいのは形かな、紙の種類かな」と、子どもが知りたいことを一緒に確かめます。

一度に一つの条件を変えて比べるのは、実験の基本的な考え方の一つです。複雑な現象をすべてこれだけで説明できるわけではありませんが、初めの小さな比較を作る手がかりになります。

「変える」「そろえる」「見る」を短く書く

実験を始める前に、紙の片隅へ三つだけ書く方法があります。

  • 変えること:紙の形
  • そろえること:元の紙の種類と大きさ、手を離す高さ、試す場所
  • 見ること:どんな動きで落ちるか、床に着くまでの様子

これは記録の例で、必ずこの通りにする提出用の型ではありません。すでに学校で使っている書き方があれば、それに合わせられます。

「そろえること」は大人が答えを一度に並べるより、「こっちは高い所から、こっちは低い所から落としたら、形だけを比べられるかな」と具体的に確かめる方法もあります。子どもが迷っていたら、大人から一つ提案してもかまいません。

小学生と大人が、机の上の平らな紙と丸めた紙を見ながら、ノートを用意して話している。
変えること、そろえること、見ることを分ける家庭の例です。研究の実験材料そのものではありません。

紙を落とすなら、机の高さ程度から足元が空いた場所で見るなど、高い所に登らずにできる範囲にします。火、薬品、熱い物、電源などを使う実験へ、この例をそのまま応用しないでください。学校や公的な教材の安全上の注意を確認し、無理に家庭で再現する必要はありません。

結果が違ったら、変わった条件を探す

やってみると、紙が横へ流れたり、毎回違う動きをしたりすることがあります。予想に合わないからといって、その回をなかったことにする必要はありません。

「窓が開いていた」「手で少し押してしまった」「丸め方を変えた」。気づいたことを短く記録し、もう一度試すなら、どこをそろえるか考えます。結果のばらつきを見たければ繰り返す方法がありますが、家庭で一律に何回やればよいという決まりはありません。

全部を同じにすることが難しい場合もあります。「今回はここがそろっていなかったから、形だけが理由とは言い切れない」と書けるところまでで一区切りにできます。

いろいろ変えたくなったとき

試したいことは別の欄に残し、まず比べる二つを選びます。次の比較として扱えば、興味を消す必要はありません。

予想と反対の結果になったとき

予想と結果を別々に残します。そろえたつもりの条件が変わっていなかったか、見直せます。

はっきりした違いが出ないとき

「違いが分からなかった」も記録します。実施した条件や観察の仕方を添え、必ず結論を出そうとしなくてかまいません。

国内の授業研究では、思わぬ条件の違いを見直していた

中村大輝・松浦拓也の研究では、東京都の公立小学校5年生4学級132人を対象に調査を行い、有効な124人のデータを分析しました。振り子の単元に関連して、条件をそろえて比べる問題や質問紙、授業中の発話を調べています。

授業では、おもりの重さを変えたつもりが、縦につなぐことで振り子の長さも変わってしまう場面がありました。班によって違った結果を見ながら、教師と子どもが、どの条件が変わったかを確かめています。研究の原文

質問紙などの分析では、教師との関わりを通して自分の考えを振り返ることと、条件をそろえて比べる問題の得点との関連が見られました。ただし、声かけの方法を無作為に割り当てて効果を比べた試験ではありません。親が同じ質問をすれば力が伸びる、と因果関係を確定することはできません。

親は「答えを出す役」以外の手伝いもできる

この研究は学校での振り子学習を扱っています。家庭で紙を落とす例や、ここで紹介した記録方法の効果を直接調べたものではありません。

家庭でできる手伝いとしては、子どもの問いを聞く、変えた条件を一緒に書く、記録した結果を並べて見る、といったことがあります。大人も分からなければ、「この結果だけでは、まだ分からないね」と伝えられます。

きれいな結論を作ることを急がず、何を比べ、どんなことが起き、何が残ったかを確かめる。その範囲なら、大人が実験の正解を先に知っていなくても、一緒に考えられます。

参考文献

  • 中村大輝・松浦拓也(2019)「理科における条件制御能力に影響を及ぼす要因についての一考察」理科教育学研究, 60(2), 385–395. 原文・PDF(DOI: 10.11639/sjst.sp18017)

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