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勉強する場所の飾りは減らすべき? 見え方を一部分から試す

勉強する場所の飾りは、減らしたほうがよい? 子どもの席から見えるものを確かめ、必要な資料を残しながら一部分を調整する考え方を紹介します。教室での注意の研究と、家庭に応用するときの限界も整理しました。

この記事の要点

  • 気になるなら、座った位置から見てみる: 部屋全体を片づける前に、教材の近くや正面に何が見えるかを、子どもと確かめる方法があります。
  • 変えるのは一部分でいい: 今使わないものを一時的に横へ寄せる、座る向きを選ぶ。家じゅうの飾りを撤去する必要があるとは研究から言えません。
  • 必要な手がかりや好きなものは、役割も考える: 使う資料まで隠すと不便なことも。本人の取り組みやすさを聞きながら、戻せる変更から試せます。

目次

机の前に地図や作品を飾っているけれど、宿題の途中でそちらを眺めている。片づけたほうがよいのか、それとも見慣れれば気にならなくなるのか。家庭で学ぶ場所を考えるとき、迷うことがあります。

教室の視覚環境を調べた研究では、授業と直接関係しない掲示物が、幼い子どもの注意を引く場合が示されています。ただし、それは「家の壁を何もない状態にすれば成績が上がる」という答えではありません。

家庭で試すなら、まず今困っている場面を一つ選び、見える範囲を少し変えてみる。その子が使いやすいかを確かめるための、小さな調整として考えられます。

部屋のきれいさより、今の席からの見え方

大人が部屋の入口から見た印象と、子どもが座ったときに見えるものは違います。教材を置く場所から顔を上げると何が見えるか、一緒に座って確かめてみませんか。

何度も目が向くものがあるなら、「これが気になる?」「こっち向きと、どちらがやりやすそう?」と聞いてみる。まだうまく説明できなければ、今使わない物を少し横へ寄せるだけでも、試し方を変えられます。

机に座る子どもと相談しながら、大人が今は使わない本を横の棚へ移している場面。手元の教材と飾った作品は残っている。
手元に必要なものを残し、今は使わない本を少し横へ寄せてみます。

ここで、視線がそれるたびに注意する必要はありません。考えるときに顔を上げることもあり、どこを見ているかだけで、本人が何を考えているかは分かりません。課題が難しいのか、疲れているのか、取りかかり方が分からないのかも、別の問いです。

まずは「この飾りが原因」と決めつけず、本人が困っているか、実際に作業が止まる場面があるかを見ます。特に困っていない部屋まで、研究に合わせて模様替えするという使い方はしなくてよいでしょう。

全部を減らす前に、三つの分け方

家庭で取り入れるなら、物の数だけでなく、今の活動との関係を考える方法があります。以下は研究を参考にした編集部の提案で、家庭での効果が実証された配置のルールではありません。

今使っているもの

開いている教科書、書くための道具、参照する表。必要なものは手元に残します。

あとで使うもの

別の教科の本や、まだ取り組まない教材。今の作業の間だけ、横へ寄せる方法があります。

飾って楽しみたいもの

作品やお気に入りの絵。本人と相談し、見る場所や向きを少し変える選択肢があります。

たとえば、漢字を確かめるために使っている表と、今は見ていない大きなポスターでは、その時間の役割が違います。必要な資料まで遠ざけてしまうと、そのたびに探す手間が増えるかもしれません。

大切な作品を飾っているなら、「勉強の邪魔だから」とすぐ外すのではなく、見える場所を変えてよいか相談する。リビングの机なら、勉強が終わったら元に戻す。家族が過ごす場所としての使い方も残せます。

「慣れれば平気」とも、一律には決められない

いつも同じ飾りなら、そのうち気にならなくなるのでは。これは、研究でも調べられた疑問です。

2022年に発表された研究では、約5歳の子どもが、掲示物のある実験用教室で2週間、計10回の短い授業を受けました。周囲の物へ注意が向く時間は初めより減りましたが、掲示物を除いた条件との差は残りました。原著研究

つまり、この設定では少し慣れる様子が見られたものの、すべての注意の向き方が同じになるところまでは確認されていません。

一方、家庭の壁には何年も同じものがあるかもしれませんし、学校の掲示は学習内容や季節に合わせて替わることもあります。「慣れるまで何日待てばよい」と決める研究ではありません。今の席でやりにくさがあるなら、ただ待つほかに、見え方を試してみる選択もあるということです。

教室の研究で、どこまで分かったか

Godwinらの研究1には、米国北東部の私立の大学付属校に通う、計43人のキンダーガーテン児が参加しました。日本の年長児に近い、平均約5歳の子どもたちです。

掲示物のある条件で10回、取り除いた条件で5回、1回約6分の理科の読み聞かせ授業を設け、同じ子どもたちを比べました。条件を経験する順は、二つの年度で逆にしています。

授業者や教材以外へ視線が向いた時間を、研究上の「課題外の行動」として記録。平均では、掲示物のある条件46.56%、取り除いた条件32.86%でした。環境そのものへ注意が向く時間には、慣れに伴う減少と、条件間に残る差の両方が見られました。研究1・方法と結果

研究2では、同じく米国北東部の3校6教室を、約15週にわたり観察しました。対象はキンダーガーテンから小学2年生まで。算数の授業中、周囲の環境へ注意が向く行動が、時間とともに減っていく証拠は得られませんでした。ただし実際の教室では掲示も変化しており、「同じ飾りにいつまでも慣れない」とまでは言えません。

家庭へ持ち帰るのは、試せる範囲の工夫

この論文が測ったのは、視線などから分類した注意の向き方です。研究1では学習前後のテストを実施できておらず、飾りを減らすと知識や成績がどれだけ変わるかは、この研究では分かりません。視線が外れていても話を聞いている可能性がある点も、著者らは挙げています。

研究2は、実際の教室を観察したもの。掲示物を無作為に増減した実験ではありません。二つの研究とも、日本の家庭の机で、一人で宿題をする条件とは異なります。

そのため、ここから「集中できないのは部屋のせい」「飾りは何枚まで」といった基準は作れません。著者らも、何もない無機質な学習環境を求めているわけではないと述べています。

まず一つだけ見え方を変え、本人に「前とどっちが使いやすい?」と聞く。変わらなければ戻し、別の困りごとを考える。部屋全体を理想の学習空間に仕上げるより、今の活動をしやすくするために、動かせるところから試せます。

参考文献

参考資料へのリンクは別タブで開きます。

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