何度も言い直す練習にしなくて大丈夫です。まず、機器が反応していないのか、返事はあるけれど知りたいことと違うのかを分けてみます。機器の確認は大人が引き受け、子どもがもう一度聞きたいなら、知りたいものの名前を入れてみる。それでも続かないときは、本や人に聞く方法へ移れます。
この記事の要点
- 反応がないときは、子どもに繰り返させる前に、大人が機器の状態を確認します。
- 返事がずれたときは、本人が望めば、知りたい対象の名前を入れて聞き直す選択肢があります。
- 声かけや切り替え方は編集部の提案です。研究で効果が確かめられた手順ではありません。
反応がないときは、大人が機器を確認する
呼びかけても何も返らないときと、返事は返るのに話がかみ合わないときでは、確認したいことが違います。どちらも「通じない」と感じる場面ですが、まずは機器から反応があるかを見てみます。
Googleの公式ヘルプでは、反応しない場合の確認事項として電源やマイクの状態などを挙げ、回答が質問に対応していない場合には質問の仕方を変える案を示しています。これはGoogleの機器についての案内です。使っている製品の確認方法は、その製品の公式ヘルプを大人が見てください。[1]
「聞こえていないみたい。機械のほうを見てみるね」と、いったん大人が引き取る方法があります。反応がないだけで、子どもの声が小さい、発音が悪いと決める必要はありません。大きな声で何度も言うことを、子どもの課題にしなくても構いません。
返事がずれたら、何を知りたいか確かめる
たとえば、動物の本を開いている子が「それは何を食べる?」と聞いたのに、知りたかった動物とは違う返事が来た場面を考えます。以下は説明のための架空の例で、研究で観察された会話ではありません。
大人は、本を見ながら「キリンが食べるものを知りたかった?」と確かめられます。子どもが「そう」と答え、もう一度聞きたい様子なら、「『キリンは何を食べる?』って聞いてみる?」と提案する方法があります。
ここで変えるのは、声の大きさや話す回数ではなく、「それ」が何を指すかです。子どもが知りたいことを大人の別の質問に置き換えず、まず対象を確かめます。言い換えたら必ず答えが得られるという意味ではありません。
自分で言っても、大人に聞いてもらっても、もう聞かないことにしても構いません。

機器との会話を、そこで終えてもいい
また違う返事が来たり、子どもが嫌になったりしたら、「キリンの食べ物、今開いている本で探そうか」と切り替える選択肢もあります。身近な人に聞く、あとで調べることにして、その場を終えても大丈夫です。
「あと何回なら成功するか」を決めて、続けてもらう必要はありません。何を知りたかったかが親子の間で分かれば、機器とのやり取りをいったん終えることができます。
研究が調べたのは、返答のあとの質問
2021年公表のOrançとRuggeriの研究は、ドイツ語を話す3〜10歳の子どもと、当時のAmazon Alexaとのやり取りを調べました。ベルリンの動物園で54人を募集し、質問しなかった子や会話が成立しなかった子を除いた43人を分析しています。家庭での声かけを比べた実験ではありません。[2]
分析では、質問と関係のない返答や「分からない」という返答などのあと、年少の子に比べ、年長の子は次の質問の種類を変えやすい傾向がみられました。ただし、これは同じ問いを言い換えれば成功する、繰り返し練習すれば上達する、という結果ではありません。[2]
特に、機器から返答がなかったやり取りは、その後の質問の変化を調べる分析から除外されています。機器が反応しないときの子どもへの接し方を、この結果から決めることはできません。また、日本語での家庭のやり取りや、現在の生成AI全般にそのまま当てはめることもできません。[2]
この記事では研究で観察されたことと、家庭で選べる対応を分けて紹介しました。まずは「反応がない」「返事がずれた」を見分け、機器に合わせる練習を続けるかどうかまで、子どもに背負わせない関わり方を選べます。
出典
[1] Google Home and Nest ヘルプ「Google のスマート スピーカーやスマートディスプレイで『OK Google』に関する問題を解決する」(2026年11月3日確認)。公式ヘルプ。製品の確認事項であり、家庭の声かけの効果を調べた研究ではありません。
[2] Oranç, C., & Ruggeri, A.(2021)“‘Alexa, let me ask you something different’ Children’s adaptive information search with voice assistants.” Human Behavior and Emerging Technologies, 3(4), 595–605. DOI: 10.1002/hbe2.270。原著全文。方法§5.1–5.2、結果§6.5、考察§7。









