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ビデオ通話で子どもが話さない。「何か言って」の前にできること

ビデオ通話をつないでも、子どもが話さない。おもちゃを見せる、動きに返事をするなど、短いやり取りの入り口を紹介します。2歳児の実験をもとに、通話と録画の違いを過大に広げず考えます。

この記事の要点

  • 話題は、今見えているものから: 持っているおもちゃを見せる、手を振り合うなど、長い説明がいらないやり取りから始められます。
  • 返ってきた反応に合わせて、次のひと言を: 質問を続けるより、指さしや動きにも返事をする。相手の反応で話が変わるのが、通話ならではの楽しみです。
  • 画面の前に居続けることを目標にしない: 顔を見せて終わる日や、大人同士の会話になる日があっても。話した量を、家族との親しさの点数にしなくて構いません。

目次

離れて暮らす家族とビデオ通話をつないでも、子どもが黙る、よそを向く、おもちゃを取りに行く。「せっかくつながったのだから、何か話して」と促したくなる場面があります。

けれど、会話を長く続ける形だけに合わせなくても、できるやり取りはあります。何かを見せる、動きをまねする、相手の返事を聞く。主に2歳前後の子どもとの通話なら、短い往復から考えてみませんか。

画面越しでも、その子の反応に合った返事が返ることには意味がありそうです。幼児の研究は、その点を調べています。ただし、ビデオ通話を長くするほど言葉が伸びると分かったわけではありません。

「今日は何した?」以外の入り口を持つ

通話が始まってすぐ、一日の出来事を説明してもらうのは難しいことがあります。そんなときは、今そこにあるものを話題にしてみます。

子どもがおもちゃを持っていれば、見せたいか聞く。見せたら、通話の相手が「赤い車だね」「後ろも見えるかな」と、その物に沿って返事をする。何かを準備しておくより、そのとき手にしている物から始められます。

物を見せる気分でなければ、手を振る、相手が手を振り返すだけでも、一つのやり取りです。覚えた歌やせりふを披露する時間に、毎回しなくて構いません。

そばの大人に見守られながら、床に座った幼児がタブレットの画面に手を振り、画面の祖母も手を振り返している場面。
手を振って、振り返してもらう。短い往復も、一つのやり取りです。

大人が話題を用意するなら、「今日は何ができるか見せてもらおう」より、「今一緒にできることはあるかな」と考えるほうが、選べる形を増やせます。

質問の数より、返事のつながりを見る

ビデオ通話の相手にお願いするなら、「たくさん質問して」より、「子どもの反応を見て、一つ返してもらえる?」という伝え方があります。

たとえば子どもが車を机の上で走らせたら、「走ったね」と返す。別のおもちゃを見せたら、話題をそちらへ移す。予定していた質問に答えさせるより、出てきた動きに付き合う方法です。

研究では、このように相手の反応に応じて返事が変わる性質を、社会的な応答性として扱っています。録画でも問いかけのあとに間を空けることはできますが、その子が何をしたかに応じて返答を変えることはできません。原著研究

もちろん、毎回気の利いた反応を返す必要はありません。聞こえなかったら「もう一回聞かせて」、見えなかったら「今は画面の外で見えないよ」と、実際の状況を伝えるやり取りもできます。映像や音が途切れるときは、子どもの話し方だけを直そうとせず、聞き取りやすいかを確かめます。

そばの大人は、必要なところだけつなぐ

画面越しでは、子どもが何を指しているのか、相手に伝わらないことがあります。そばの大人が、見えている事実を短く添える方法もあります。

以下は、研究を参考にした家庭での提案です。実験では、そばにいる親の手助けを調べたわけではありません。

指した物が画面に入っていない

「今、積み木を指しているよ」

何を見ているか、相手に分かる情報だけを添えます。

相手の声が聞き取れなかった

「何色か聞いているみたい。もう一度お願いできる?」

すぐに子どもの代わりに答えず、やり取りをつなぎ直せます。

子どもが別の遊びを始めた

「今は遊ぶほうへ行ったね。今日はここまでにしようか」

無理に画面へ戻さず、終えるか、大人同士の話へ替えることもできます。

相手に失礼かもしれないと心配なら、大人から「今日はおもちゃを見せてくれたね。またね」と区切ってよいでしょう。短かったことを、子どもに埋め合わせさせる必要はありません。

通話を受ける側が、毎回子ども向けの遊びを準備するのも負担になります。挨拶だけの日、一つ見せ合う日、長く話せる日と、その日の双方の都合に合わせられます。

2歳児の実験では、通話と録画に違いがあった

Roseberryらが2014年に発表した研究では、24〜30か月の英語のみを話す家庭の子ども36人が参加しました。12人ずつ、対面、ビデオ通話、別の子との通話を収録した録画を見る条件へ、無作為に分けています。

研究者は、物を動かしながら、研究用に作った四つの動詞を教えました。対面と通話では、導入時に本人の名前を呼び、指さしなどに応じた返事をしています。その後、覚えた言葉に合う動作の映像を、子どもがどれくらい長く見るかで理解を調べました。

正しい動作を見る時間の平均割合は、通話66.90%、対面64.19%、録画50.12%。この課題では、通話と対面の条件で新しい言葉の理解を示す反応があり、録画条件では明確ではありませんでした。これは「覚えた単語の数が何%増えた」という数値ではなく、テスト中の注視時間の割合です。方法・結果

通話と対面の間に明確な差がなかったことも、日常のあらゆる交流で両者が同じだという証明にはなりません。ここで確かめたのは、短い実験で教えた言葉の、その直後の理解です。

通話を「言葉の練習」にしなくていい

この実験には、各条件12人という少人数の制約があります。録画条件では別の子の名前が呼ばれていたため、その違和感が結果に関わった可能性も、著者らは挙げています。「録画では幼児は何も学べない」と広げて読むことはできません。

また、親は子どもの見方へ影響しないよう、視界を遮る眼鏡を着け、手助けしないよう求められました。家族とのいつもの通話とは条件が異なります。近くの大人がつなぐ会話例の効果や、祖父母との関係、通話の適切な回数・長さは、この研究からは決まりません。

家庭で参考にできるのは、画面があるかどうかだけでなく、そこでどんなやり取りが起きるかに目を向けることです。質問を言い終えることより、相手がしたことに一つ返す。話せない日には、見せる、手を振る、短く終える。

離れた家族と会う時間を、できたことの発表会にしなくてもよいのです。その日に一緒にできるやり取りから、楽しみ方を選べます。

参考文献

参考資料へのリンクは別タブで開きます。

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