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海の水は、なぜしょっぱい? 川から来る水との違い

岩石から溶け出した成分が川などから海へ運ばれ、海底での反応も成分に関わる。海水には食塩のもとになる成分をはじめ様々な塩類が溶けている。濃さは場所によって違い、「どの海も同じ」「永久に濃くなる」とは言えない。

この記事の要点

  • 海には、陸の岩石から溶け出して川で運ばれた成分など、さまざまな塩類が溶けています。海底での水と岩石の反応も関わっています。NOAA「Why is the ocean salty?」
  • 海水の塩分は、場所によって違います。雨や川の水、蒸発、海の流れなどの影響を受けます。JAMSTEC「海洋塩分」
  • 成分は海に入ってくるだけでなく、堆積物に取り込まれるなどして海水から除かれることもあります。「海はいつまでも濃くなり続ける」とは説明できません。NOAA「Why is the ocean salty, but rivers flowing into it are not?」

目次

海には、食卓の塩だけが溶けているの?

「海はしょっぱい」と聞いた子どもに、「塩は誰が入れたの?」と尋ねられたら、どこから説明しましょうか。

海水に溶けているのは、食塩のもとになるナトリウムイオンや塩化物イオンに加え、マグネシウムイオンなど、いろいろな成分です。この記事では、こうした水に溶けた塩の仲間をまとめて「塩類」と呼びます。NOAA「Why is the ocean salty?」

NOAAの解説では、海水に含まれる塩類は平均すると重さの約3.5%です。重さで考えれば、海水全体が1000gあるとき、そのうち約35gが塩類に当たる、という目安になります。NOAA「Why is the ocean salty?」

ここでいう1000gは、塩類も含めた海水全体の重さです。「1000mLの水に35gの食塩を足す」という分量の指示ではありません。また、平均値なので、どの海岸の水も同じ濃さだという意味でもありません。NOAAの重量比の説明、JAMSTECの塩分分布の説明

岩の成分が、どうして海まで届くの?

大きな供給源の一つは、陸にある岩石です。雨などの働きで岩石の成分が水に溶け出し、イオンとして小川や川を通って海へ運ばれます。目に見える食塩の粒が、川底を転がってくるという話ではありません。NOAA「Why is the ocean salty?」

では、川にも同じように塩類があるのでしょうか。川は海へ成分を運んでいるので、川の水にも溶けた成分があります。一方で、雨から淡水が補われ、川の水は流れ続けます。川から入る成分を受け取る海との違いを、NOAAはこのように説明しています。NOAA「Why is the ocean salty, but rivers flowing into it are not?」

短く伝えるなら、「岩から水に溶け出したものを、川が海まで運んでくるんだね」。子どもが川の水を「何も入っていない水」と考えているようなら、「透明に見えることと、何も溶けていないことは、同じかな?」と問いを添える方法もあります。実物の川の水を用意する必要はありません。

陸の岩石、川、海のつながりを示す模式図
溶けた成分は川から海へ運ばれ、海底でもやり取りされます。

海底でも、成分の出入りがある

川だけで説明しきれるわけではありません。海底の割れ目に入り込んだ海水が熱せられ、岩石と化学反応を起こす過程でも成分が変わります。海水から失われる成分もあれば、周囲の岩石から取り込まれ、熱水とともに海へ戻る成分もあります。NOAA「Why is the ocean salty?」

ここまで話すなら、「海の底でも、水と岩の間で成分のやり取りがあるんだよ」と添えてみましょう。子どもが最初に聞いた「どこから来たの?」には、まず陸の岩と川の道筋で答え、続きを知りたがったときに海底の話を足してみてください。

川が成分を運ぶのに、河口の塩分は低いの?

ここは、混同しやすいところです。「成分が海に届くこと」と「ある場所の海水がどれだけ濃いか」は、分けて考えます。

JAMSTECの解説では、岸から離れた海の表面付近には、海水1kg当たりおよそ30〜40gの塩類が含まれています。ただし、これは沖合の大まかな目安で、河口や沿岸を含めたすべての水域がこの範囲に収まる、という数字ではありません。JAMSTEC「海洋塩分」

同じ解説が示す大きな傾向は、次のとおりです。

  • 雨の多い海域や、大きな川が流れ込む河口付近では、塩分が低めになる
  • 蒸発が盛んな海域では、塩分が高めになる

実際には海流による水の移動や、風などによる上下の混ざり合いも重なるので、雨や気温の一つだけから、その場の塩分を決めることはできません。JAMSTEC「海洋塩分」

川は、溶けた成分と一緒に、塩分の低い水も海へ運びます。そのため、成分を供給していても、河口付近の海水を薄めることができます。塩類の「入ってくる量」と、海水全体に対する「濃さ」は同じものではないのです。NOAAの河川からの供給の説明、JAMSTECの河口付近の説明

この先、海はどんどんしょっぱくなる?

「川がずっと運んでくるなら、海はどんどん濃くなるの?」という疑問も出てきます。

海には、入ってくる道のほかに、成分が海水から取り除かれる道もあります。NOAAは、海水中の塩類が海底の堆積物に取り込まれることを挙げ、現在の海では供給と除去がおおむね釣り合っている可能性を説明しています。NOAA「Why is the ocean salty, but rivers flowing into it are not?」

ただし、原典もこの釣り合いを断定してはいません。「入ってくる一方だから、いつまでも濃くなる」と決めつけるのも、「すべての場所で濃さがずっと一定」と受け取るのも避けたいところです。海全体の成分の出入りと、雨や海流で変わる各地の塩分は、別々に見る必要があります。NOAAの供給と除去の説明、JAMSTECの塩分変動の説明

味見をせずに、親子で考えるなら

確かめるために、海水や川の水を味見するのはやめましょう。海水を煮詰めたり、海辺で実験したりせず、紙に道筋を描く方法を紹介します。

まず「陸の岩」「川」「海」を描き、岩から川へ、川から海へ線をつなぎます。線のそばに「溶けた成分を運ぶ」と書いてみましょう。小さな点を描く場合は、見えない成分を表すための印にして、「本当にこの大きさの塩粒が流れているわけではないよ」と添えます。

そのうえで、子どもが気にした疑問に合わせて一つだけ描き足します。

  • 「海の底からも来る?」なら、海底の岩と水の間に、成分をやり取りする矢印
  • 「ずっと増える?」なら、海水から堆積物へ向かう矢印
  • 「どこも同じ濃さ?」なら、川の河口や雨雲の位置

全部を一度に描く必要はありません。「岩から海へ届く道がある」と分かったところで終えてもよいですし、地図に興味が向いたら、大きな川の出口を探す方向へ進んでもよいでしょう。説明を確かめるための提案で、学習効果を保証する活動ではありません。

この記事の根拠と、説明の範囲

この記事は、米国海洋大気庁(NOAA)の一般向け解説と、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者による用語解説をもとにしています。日本の親子を対象にした育児・教育効果の研究ではありません。

JAMSTECのページに掲載された塩分分布図は、アルゴフロートの観測データから作られた、2004〜2019年の月別の長期平均です。2026年の特定の日や、これから出かける海岸の塩分を示すものではありません。本記事では原図を転載していません。JAMSTEC「海洋塩分」図1の説明

参照した公式資料

  • NOAA National Ocean Service「Why is the ocean salty?」。陸からの供給、海底での反応、平均塩分の説明。ページ表示の最終更新日:2026年9月23日。
  • 木戸晶一郎(JAMSTEC)「海洋塩分」。塩分の目安と場所による違い、観測図の説明。掲載・更新日の明示なし。図の観測期間:2004〜2019年。
  • NOAA National Ocean Service「Why is the ocean salty, but rivers flowing into it are not?」。河川からの成分供給と海底への除去の概説。ページ表示の最終更新日:2026年9月23日。

資料確認日:2026年10月14日。

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