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積み木がいつも同じ形でもいい? 遊びを広げたい日の小さなヒント

積み木やブロックが、いつも同じ形。別の作り方を教える前にできることや、遊びの中で使える短い声かけを紹介します。広げたい日だけ試せるヒントと、研究で分かる範囲をまとめました。

この記事の要点

  • 毎回、新しい作品を目指さなくていい: いつもの形で遊んでいるとき、すぐ別の作り方へ誘導せず、何をしているか見てみましょう。
  • 声をかけるなら、目の前のことを一つ: 「上にのせたね」「こっちは長いね」。形や位置を、会話の中で言葉にできます。
  • 広げるのは、乗ってきたときだけ: 並べ方を一つ変える、簡単な見本を一緒に見る。興味がなければ、いつもの遊びに戻って構いません。

目次

積み木を出すと、今日も高く積んで、崩して、また積む。ブロックでは、いつも同じ車を作っている。「ほかの遊び方も教えたほうがいいのかな」と思うことがあるかもしれません。

そんなときは、別の形を作らせる前に、子どもが今していることを少し見てみませんか。いつもの作品を楽しむ日があっても、毎回新しい課題を用意する必要はありません。広げたいときも、大人が完成形を増やすより、今の遊びに小さな誘いを添えるところから始められます。

この記事は主に未就学児との積み木・ブロック遊びを想定しています。以下は家庭で選べる遊び方の提案であり、同じ形を作る理由や、個々の子どもの発達を判定するものではありません。

作品の種類より、今していることを見てみる

同じ「塔」に見えても、今日は土台を広くしているかもしれません。昨日より一つ多く積もうとしている日も、積むより崩れる音を楽しんでいる日もあります。もちろん、大人に分かる変化が見つからないこともあります。

「毎回変化を発見しよう」と頑張らず、少し待ってみるだけでも十分です。「何を作っているの?」と必ず説明してもらう必要もありません。手を動かすことに夢中なら、黙って隣で見ていてもよいでしょう。

形を増やしたくなるのは、大人の側が飽きたから、という日もあります。それも自然なこと。「今日はこの車を一緒に作ったら、私はお茶を飲むね」と、付き合える範囲を伝えられます。

「上」「隣」「長い」を、遊びの言葉にする

声をかけたくなったら、答えを求める質問ばかりでなく、見えていることを短く言葉にしてみましょう。

のせたり、並べたりしているとき

「赤い積み木を、青い積み木の上にのせたね」

子どもが青い積み木の上に赤い積み木をのせ、その隣に低い積み木が並んでいる場面。
「上にのせたね」「隣に並べたね」。目の前の位置や形を、遊びの会話に添えられます。

色だけでなく、位置を一つ添えた言い方です。毎回説明せず、口にしやすい場面で。

二つのものを見比べているとき

「こっちの道のほうが長いね」

目の前の二つを見ながら、長さの違いを話せます。どちらが優れた作品かを決めるための比較ではありません。

置き場所を相談してきたとき

「この隣に置く? それとも上にする?」

子どもが選びたそうなときの例です。自分で決めて進めているなら、選択肢を出さずに見ていて構いません。

こうした位置や形に関わる言葉は、研究では「空間に関する言葉」として扱われます。ブロック遊び中の会話を調べた実験でも、遊び方によって、その言葉の使われ方に違いがありました。詳しくは後半で紹介します。研究1

だからといって、遊びを言葉の練習時間に変える必要はありません。「上って言ってみて」と復唱させたり、使った言葉を数えたりせず、やり取りの一部にするくらいの提案です。

広げたい日は、いつもの形から一つだけ変える

新しい遊びを試したそうなら、今の作品につながる誘い方があります。

塔を作っているなら、「隣にも低い塔を作っていい?」。車を作っているなら、「この車の入る場所を作ってみる?」。大人が案を出しても、採用するかは子どもに任せられます。

「見本を見ながら作りたい」という日には、大人が少ない積み木で作った形を横に置いたり、家にある説明書の簡単な形を一緒に眺めたりしても。再現できたかを確かめるテストにせず、途中で違うものになっても遊びを続けられます。

文部科学省の『幼稚園教育要領解説』でも、遊びや生活の中で形や大きさに触れ、自分のイメージに合わせて材料を選び、組み合わせる経験が扱われています。園の教育についての資料ですが、完成見本だけに目を向けず、作る過程を考える参考になります。公的資料1

新しい積み木や教材を買い足すことが、この記事の前提ではありません。今あるものの範囲で、親子が面白そうと思ったときに試せます。

どこまで分かっている? ブロック遊びの研究

Ferraraらの研究では、未就学児72人と保護者らのペアを、自由にブロックで遊ぶ、写真の手順を見ながら作る、組み立て済みの模型で遊ぶ、という三つの条件に分けました。最初の10分間では、手順の写真を使う条件で、大人の発話に占める空間に関する言葉の割合が、ほかの二条件より高くなりました。子どもも自由遊びの条件より割合が高かった一方、組み立て済み模型の条件との差は確認されませんでした。研究1

これは、その場の会話を調べた結果です。「見本通りに作るほうがよい」「話す量が多いほど遊びの質が高い」と決める結果ではありません。空間能力や将来の算数成績への長期効果を測った実験でもありません。

また、使われたのは特定の組み立て式ブロックで、参加家庭の背景にも偏りがあります。日本の家庭の積み木遊びすべてに、そのまま当てはめることはできません。同じ形を繰り返す遊びと、毎回違う形を作る遊びを比較した研究でもありません。

そのため、この記事では「同じ形なら、この声かけで発達が進む」とは考えず、会話や遊びの選択肢を増やすための手がかりとして紹介しています。

今日は、いつもの作品を一緒に見るだけでも

遊びを広げる方法を知っていると、誘ってみたい日に使えます。でも、毎日それを実行する必要はありません。

今日は、いつもの塔を作る。少し話したくなったら、「ずいぶん高くなったね」と言う。別の日に、隣へ短い道を作ってみる。子どもの興味と、大人の余力が重なるところで楽しんでみてください。

参考文献・資料

参考資料へのリンクは別タブで開きます。

  1. Ferrara, K., Hirsh-Pasek, K., Newcombe, N. S., Golinkoff, R. M., & Lam, W. S.(2011). Block Talk: Spatial Language During Block Play. Mind, Brain, and Education, 5(3), 143–151. 論文全文PDF / DOI
  2. 文部科学省(2018). 『幼稚園教育要領解説』、冊子63–64ページ「数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚」. PDF

資料確認日:2026年10月13日

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