この記事の要点
- 何をしてもらったかを、短く添える: 「落ちた色鉛筆を一緒に拾ってくれたね」など、その場であった助けを言葉にします。
- 伝えたいことと、伝え方を選べる: 「拾ってくれてありがとう」と言う、大人と一緒に伝える、あとで会ったときに話すなど、できる形を考えられます。
- お礼と、相手の頼みを引き受けることは別: 助けてもらっても、嫌なことや危ないことには応じなくて構いません。返礼の品や抱擁を必須にする必要もありません。
目次
落とした物を友だちが拾ってくれたのに、子どもは受け取って遊びへ戻った。「ありがとうは?」と声をかけたくなる場面です。
お礼の言葉を教えるときは、言葉そのものと、何が助かったのかを結び付けて話せます。園児から小学校低学年くらいの子との、日常の小さな手助けを考えます。
「何て言うの?」の前に、起きたことを一つ
「落ちた色鉛筆を一緒に拾ってくれたね」「手がふさがっていたから、扉を開けて待っていてくれたね」。大人が見ていたことを、そのまま短く言えます。
気持ちまで「うれしいでしょう」と決める必要はありません。子どもが「自分でやりたかった」と言うなら、その話も聞けます。助けるつもりの行動でも、受け取る人が望んでいたことと違う場合があります。
相手が困っていることに気づいて手を貸してくれた。その出来事を共有してから、「お礼を言いたかったら、一緒に伝えようか」と提案できます。
伝える内容は、短く具体的でいい
言いたそうだけれど言葉が出ないなら、「拾ってくれてありがとう、で伝わるよ」と例を示せます。長いお礼や、大人と同じ言い方でなくても構いません。
すぐに自分から言えないときは、大人が「一緒に拾ってくれて、助かりました。ありがとう」と、自分のお礼を伝えられます。その後に子どもが続けるかを、人前で待ち続けなくてもよいでしょう。
相手がもう帰ったなら、次に会ったときに伝える方法もあります。子ども自身が絵や短い手紙を渡したがるなら、その気持ちに付き合えますが、毎回準備する決まりにしなくて大丈夫です。

助けてもらったら、何でも返さなければいけない?
「前に助けてあげたから、これをちょうだい」と言われたら、お礼の話とは分けて考えられます。
「助けてくれたことにはありがとうと言える。でも、大切な物を渡すかどうかは別に決めていい」と伝えます。嫌な触れ合い、危ない遊び、秘密にするよう求められる困りごとなどに、返礼として応じる必要はありません。迷うときは身近な大人へ相談できます。
また、お礼を言うために相手を抱きしめたり、物を買って返したりすることを決まりにしなくて構いません。相手が手を貸してほしそうな別の場面で、できることを尋ねる方法もありますが、借りを数えて返す宿題にする必要はありません。
言えた一回だけで、気持ちを採点しない
言葉を知っていても、その場で口にするかどうかには違いがあります。反対に、すぐ「ありがとう」と言えても、何がうれしかったのかは別に聞いてみないと分かりません。
毎回、感謝の深さを確かめる会話をする必要はありません。親自身が助かったときに「かばんを持ってくれて助かったよ」と話すなど、暮らしの中の短いやり取りを選べます。
ここまでの声かけと伝え方は、編集部による一般的な提案です。次の研究で、お礼を促す方法の効果を比べたわけではありません。
研究では、うれしさと助けた相手への気持ちを分けていた
Nelsonらは、米国で3歳時点に263組の家庭を募り、3〜5歳にかけて調べました。5歳の来訪には228組が参加し、人形を使った二つのお話から、助けられた子の気持ちや、お返しに助ける理由を尋ねています。
お話の主人公がうれしいと答えること、助けてくれた相手にその気持ちを結び付けること、相手を手伝う理由を説明することは、同じようには答えられていませんでした。また、猫を探してもらう話と、寒い日に服を貸してもらう話では、答え方に違いがありました。研究の公開全文
これはお話への回答を調べた研究で、実際の友だちとのお礼を観察したものではありません。自由に言葉で答える課題のため、理解していてもうまく説明できなかった可能性があり、話の内容による違いもあります。日本の家庭での礼儀や、何歳ならお礼を言えるべきかを決める結果ではありません。
「ありがとう」を一つ言わせて終わるほかにも、「何をしてもらったか」「何と伝えたいか」を短く確かめる関わり方があります。できそうな形を一つ選べれば、それで区切れます。
参考文献
- Nelson, J. A., Freitas, L. B. L., O’Brien, M., Calkins, S. D., Leerkes, E. M., & Marcovitch, S.(2013)Preschool-aged children’s understanding of gratitude: Relations with emotion and mental state knowledge. British Journal of Developmental Psychology, 31(1), 42–56. 公開著者原稿(DOI: 10.1111/j.2044-835X.2012.02077.x)









