この記事の要点
- 本人がどう過ごしているかから: 名前が出てくる友だちの数に加えて、一緒にいて楽しい相手がいるか、ひとりの時間をどう感じているかを聞いてみます。
- 関係の中で起きていることを見る: 遊びを一緒に選べる、困ったときに助け合える、嫌だと言える。親が確認したいのは、毎日の具体的なやり取りです。
- つらさや危険は人数と別に扱う: 仲間外れや暴力、無理な要求があるなら、「友だちはいるから」と済ませず、学校などの大人と安全を確かめます。
目次
学校の話に出てくる名前が、いつも同じ。休日に遊ぶ約束も多くない。「もっと友だちをつくったほうがいいのかな」と気になることがあります。
そんなとき、人数を増やす相談に入る前に、本人が今の関係をどう感じているかを確かめてみませんか。一緒にいて楽しい時間があるか、入りたい遊びに入れず困っているか、ひとりで過ごすことを選んでいるか。同じ「友だちが少ない」でも、必要な手助けは変わります。
この記事では、主に小学生の保護者に向けて、家庭で話を聞くときの見方を提案します。後半で紹介する英国の研究も、友人関係を人数だけで捉えてはいません。ただし、「親友が一人いれば必ず大丈夫」と決められる研究でもありません。
最初に聞きたいのは、今の過ごし方
「友だち、何人いるの?」と聞くと、子どもは名前を数えることになります。親が知りたいのが学校での過ごしやすさなら、「休み時間は何をしていた?」「そのときはどうだった?」と、場面から聞く方法があります。
本を読んでいたと答えたら、すぐ「誰とも遊ばなかったの?」へ進めず、その本の話を聞いてみる。遊びたかったのに入れなかったのか、本の続きを読みたかったのかは、外から見ただけでは分かりません。
一度の返事だけで結論を出す必要もありません。今日はひとりがよかったけれど、明日は誰かと遊びたいかもしれない。本人の希望は、そのつど聞き直せます。
「大丈夫?」だけでは話しにくそうなら、「楽しい時間と、困る時間はある?」と聞き分けることもできます。答えがすぐ出なければ、「話したくなったら聞くよ」と伝え、その日の聞き取りを終えてもよいでしょう。以下の会話例は編集部の提案で、研究で効果を確かめた質問法ではありません。
仲のよさを、日々のやり取りで見る
いつも一緒にいる相手がいても、遊び方を毎回合わせるのがつらい場合があります。一方、毎日は遊ばなくても、好きなものを話し合える相手がいるかもしれません。
親が気になるときは、「仲よしなの?」の一問で判断せず、どんなやり取りをしているかに目を向けます。一緒にすることを両方が選べるか。困ったときに頼めるか。意見が違ったあと、無理に従わずに過ごせるか。これは関係を採点するためのチェックリストではなく、本人の話を理解するための手がかりです。

たとえば、次のような返し方が考えられます。すべてを順番に聞く必要はありません。
親が用意するなら、人数の目標より小さな機会を
本人が「もう少し一緒に遊びたい」と言うなら、誰と、何をしたいのかを聞いてみます。大勢を集めなくても、気の合う相手と公園で遊ぶ、好きな遊びを一緒にする機会を考えられます。誘う前に、本人が望んでいるかも確かめましょう。
家庭の予定や相手の都合が合わず、約束をつくれない時期もあります。保護者が交流を手配できる量を、そのまま子どもの関係づくりの評価にする必要はありません。学校でどんな時間を過ごせているかを聞くことも、できる関わりの一つです。
先生へ相談するときも、「友だちを増やしてください」より、「休み時間に遊びへ入りたいそうですが、どう過ごしていますか」と場面を共有すると、確認してほしいことが伝わります。
ただし、叩かれる、物を隠される、断っても嫌なことが続くなどの場合は、交流の機会を増やすだけでは対応できません。分かる範囲の出来事を記録し、学校やその場の責任者に伝え、誰がどう安全を確かめるかを相談します。今まさに危険があるなら、その場から離れるなど安全確保を優先します。本人だけで関係を直す課題にしないことが大切です。
学校以外に相談したいときは、文部科学省の子供のSOSの相談窓口にも、いじめなどの悩みを相談できる窓口が案内されています。
英国の研究では、人数と関係の質を分けて調べた
MaunderとMonksの研究には、英国イングランドの公立小学校5校、7〜11歳の314人が参加しました。子どもたちは同じクラスの友だちを3人まで挙げ、最も親しい友だちも答えました。研究者は、名前を挙げられた数や、互いを友だちとして挙げているかを調べています。
さらに、最も親しい友だちとの間で、助けてもらえる、安心できる、親しさを感じるといったことと、自分自身を肯定的に捉える感覚などを質問しました。ここでの人数は、学校外も含めた「友だち全員の数」ではありません。原著の方法・結果
友だちとして名前を挙げられた数と、自分自身への肯定的な感覚には、小さな正の関連がありました。また、最も親しい友だちとの関係が良好だと答えた子ほど、自分自身や仲間について肯定的に答える傾向がありました。
一部の分析では、互いに友だちとして挙げ合った人数と、自分自身への肯定的な感覚との関連は、最も親しい友だちとの関係の質によって異なっていました。関係の質が低い場合には人数との関連が見られましたが、中程度・高い場合には明確ではありませんでした。
この結果は、人数だけでは捉えきれない面があることを示しています。「人数は関係ない」「少人数のほうがよい」という結論ではありません。
研究を、わが子の合否判定にしない
この調査は一時点の回答を比べたもので、友だちを増やしたり、関係を変えたりする実験ではありません。良好な関係が自己評価に影響したのか、自分を肯定的に捉える子が良好な関係を築きやすかったのか、両方なのかは決められません。
調べた相手は同じクラスに限られ、別のクラスや学校外の友だちは十分に捉えられていません。子ども自身の回答が中心で、質問尺度の一部には信頼性の低さもありました。英国の限られた学校での結果を、日本のどの子にもそのまま当てはめることはできません。
家庭で参考にしたいのは、友だちの人数を数えて安心したり、不安になったりする前に、本人がその関係の中でどう過ごしているかを見る視点です。今日楽しめたことがあったか。困る場面があるか。大人に手伝ってほしいことはあるか。
少ない人数を急いで増やす必要があるかどうかも、その話を聞いてから考えられます。本人の希望と安全を確かめながら、必要なところで一緒に動いていきましょう。
参考文献
- Maunder, R., & Monks, C. P. (2019). Friendships in middle childhood: Links to peer and school identification, and general self-worth. British Journal of Developmental Psychology, 37(2), 211–229. DOI: 10.1111/bjdp.12268. オンライン先行公開は2018年。
- 文部科学省. 子供のSOSの相談窓口. 2026年10月13日確認。
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