この記事の要点
- 「告げ口」と決める前に、何が起きたか聞く: 知らせたことを叱るより、困ったことや今してほしいことを一つ確かめられます。
- 知らせることと、相手を罰することを分ける: 話を受け取っても、すぐに相手を叱る必要はありません。確かめて対応する役は大人が持てます。
- 危険かどうか迷っても、相談していい: 怖い、つらい、繰り返される、どうしたらよいか分からない。子どもだけで重大さを判定する必要はありません。
「あの子が片付けてない」「並ぶところを間違えてる」。友だちの行動を次々に知らせてくると、「人のことより、自分のことをして」と言いたくなる日もあります。
この記事は主に小学生の友だち関係を想定しています。そんなときは、「何があったの?」「今、何に困っている?」と一つ聞き、話を受け取るところから始められます。知らせたことを丸ごと「告げ口」として止めなくても、大人の関わり方は選べます。
まずは、見たことと困りごとを分けて聞く
「ずるいことをしていた」と聞いたら、「何をしていたの?」と、子どもが見た出来事を尋ねられます。「いつも意地悪する子」のような人物の評価に、すぐ同意する必要はありません。
片付けが終わらず自分だけ待っているのか、決まりと違うことが気になるのか。大人に止めてほしいのか、どうすればよいか確かめたいのか。それぞれで手を貸す先が違います。
子どもが理由をうまく話せなければ、「分からないけど気になったんだね」で受け取れます。筋道立てて説明できることを、相談の条件にしなくて大丈夫です。
大人がその場を見ていないときは、「あなたはそう見えたんだね。私にはまだ分からないから、確かめるね」と言えます。子どもの話を聞くことと、相手の行動を確定することは、同じではありません。
受け取った後、どうするかを短く伝える
知らせるたびに誰かが叱られる仕組みにしなくても、話は聞けます。「教えてくれてありがとう。片付けは私が声をかけるね」「今は先生が見ているから、先生に任せよう」と、大人が引き受ける部分を伝えます。
その子に、友だち全員の決まりを点検する係を任せる必要もありません。「あなたが何度も注意しなくていいよ」と、役割を軽くできます。
反対に、本人が困っているのに「先生に任せて」で話を終わらせるのは避けます。自分の物が使えない、順番が何度も飛ばされるなど、今続いている困りごとは何かも確かめます。

ここからの会話は編集部の提案です。特定の言い方で報告の回数が減ると実証された手順ではありません。親が落ち着いて聞けない日には、今の安全を確かめたうえで、「少ししたら聞くね」と時間を区切る方法もあります。
「自分で解決してから」を相談の条件にしない
危ないことや、人を傷つけることがあるなら、大人が安全を確かめます。「先に本人へ言いなさい」「証拠を持ってきて」と、子どもだけで対処させる必要はありません。
「これは大きな問題? 小さな問題?」と毎回試験をするのも、相談の入り口を狭めかねません。大人には小さく見えても、繰り返し起きていたり、その子には怖かったりすることがあります。
「大したことか分からなくても話していいよ」「嫌だったことや、迷っていることも聞くよ」と伝えられます。最初に話した大人に取り合ってもらえなかった場合も、別の信頼できる大人へ話して構いません。
親から園・学校に相談するときは、「うちの子が告げ口ばかりします」と性格の話にまとめるより、「片付けのたびに、ほかの子が終わっていないと気にしています。園ではどんな場面でしょう」と、具体的な様子を尋ねる方法があります。安全やいじめが心配なときは、その心配をはっきり伝えます。
相手の家庭へ直接理由を問いただしたり、保護者同士に広めたりする前に、状況を把握できる先生へ相談できます。子どもに仲裁や調査の責任を背負わせず、大人同士で確かめる道を残します。
研究では、報告をどう評価するかに年齢差があった
Chiu Lokeらの2011年の研究は、カナダ南東部の小学校に通う1〜6年生60人を対象にしています。論文では対象を6〜11歳と記述し、学年ごとの平均年齢は6.6〜11.7歳でした。
子どもたちは、友だちの行動を描いた八つの短い話を聞き、その行動を先生に知らせること、知らせないことなどを評価しました。実際の学校で報告した回数を観察した研究ではありません。原著全文
重大な行為の報告は、どの学年でも肯定的に評価されました。一方、研究者が軽微とした行為の報告は、低学年の子ほど肯定的で、高学年では否定的になる傾向が見られました。
ただし、異なる年齢の子を一時点で比べた結果です。同じ子を追って成長を確かめたものでも、親の対応による変化を検証したものでもありません。参加者は主に白人・中流層の地域の子どもで、返却された同意書の割合も限られていました。
この結果を「何歳から報告しないほうがよい」という基準にはできません。研究で使う重大・軽微の区分と、目の前の子どもの相談に対応が必要かどうかも別です。
友だちのことを知らせに来たら、止めるか褒めるかの二択にせず、まず何が起きているかを聞く。対応を考える役は大人が受け持つ。その形なら、親が毎回裁判官になる負担と、子どもが相談を諦める心配の両方に目を向けられます。
参考文献
- Chiu Loke, I., Heyman, G. D., Forgie, J., McCarthy, A., & Lee, K.(2011)Children’s Moral Evaluations of Reporting the Transgressions of Peers: Age Differences in Evaluations of Tattling. Developmental Psychology, 47(6), 1757–1762. 原著全文/DOI
資料確認日:2026年10月14日









