トップ / 記事

好きな遊びにも、ごほうびをつけたほうがいい?

好きな遊びに「できたらごほうび」を加える前に、今の楽しみ方を見る選択肢も。描画の実験で分かったことと限界を踏まえ、家庭の約束を急に取り消さず考えるヒントです。

この記事の要点

  • すでに楽しんでいるなら、条件を足さなくても: 「何枚描いたらシール」と決める前に、今の楽しみ方を見られます。好きなところで終える余地も残せます。
  • 何のためのごほうびかを、一度分けて考える: 好きな遊びを増やしたいのか、別の支度を終えたいのかで場面は違います。一つの研究から、すべてのごほうびの良し悪しは決められません。
  • 約束済みなら、急に取り消さず相談を: 見直す場合は、今の約束をどうするかを確かめ、次からのやり方を伝えます。すでに使ったごほうびを理由に、親が自分を責める必要はありません。

目次

お絵描きや工作を楽しんでいる子に、「もっと続けられるように、ごほうびを用意しようかな」と考えることがあります。

そのときは、ごほうびを増やす前に、今すでに何を楽しんでいるかを見てみる方法があります。自分から始めている遊びなら、毎回、回数や完成数の条件を足さずに過ごせることもあるでしょう。

主に園児から小学校低学年の、家庭での好きな遊びへの関わり方を考えます。ごほうびを使ったことがある家庭に、一律の見直しを求める記事ではありません。

続けさせたい理由は、何だろう

「絵をもう少し描いてほしい」と思ったとき、大人が増やしたいのは、子どもが楽しむ時間なのか、完成した絵の枚数なのか。まず、自分の期待を一つ確かめられます。

子どもは色を混ぜるところが好きで、一枚ができたら満足しているのかもしれません。「もう一枚描けばシール」と目標を足す前に、「今日はここまでなんだね」と終わりを受け止める選択肢もあります。

好きだった遊びを今日は選ばなくても、その一日だけで興味を失ったとは判断できません。別の遊びをしたい日や、疲れている日もあるでしょう。

遊びの中で、本人が選べるところを残す

ごほうびを新しく設ける代わりに、使いたい色を選ぶ、作る物を変える、途中の作品を次まで取っておくなど、その遊びを続けやすくする準備を考えられます。

例えば工作なら、「この続きは、ここに置いておこうか」。お絵描きなら、「まだ使いたい紙はある?」。完成数を増やすための条件とは別に、道具や場所について手を貸す方法があります。

もちろん、大人がいつでも材料をそろえる義務はありません。「今日はこの紙を使おう」「片付ける時間になったから、続きは明日」と、使える物や時間の限りも伝えられます。

子どもが色鉛筆を選んで絵を描き、そばで保護者が見守っている。
すでに楽しんでいる遊びに、条件を足さずに過ごす選択肢も。

予告したごほうびと、あとから渡す物は同じ条件ではない

「これをしたら、これをあげる」と先に約束することと、終わったあとに何かを渡すことは、研究では分けて調べられてきました。

ただし、そこから「予告したら悪い」「黙って渡せばよい」という家庭のルールを作る必要はありません。誰に、何を、どんな場面で渡すかによっても違います。

好きな遊びの回数を増やす話と、朝の支度や片付けをどう進めるかという話も、同じ問いではありません。困っていることが別にあるなら、好きな遊びの研究だけで方法を決めず、その場面の事情を見ます。

自分から楽しんでいる遊び

新たな回数・完成数の条件を付けず、今の楽しみ方を見る選択肢があります。終えるタイミングも一緒に考えられます。

ごほうびを出す約束をしている

研究の話だけで急に取り消さず、約束した条件を確かめます。変えたいなら、次からどうするかを子どもと相談します。

遊び以外のことで困っている

支度や片付けなど、どの行動の何に困っているのかを分けます。この描画研究だけで、ごほうび全般の方針を決めなくて大丈夫です。

見直すとしても、家庭全体を一度に変えなくていい

ごほうびを使っていたことに気づいても、「やる気をなくさせた」と決めつける必要はありません。研究の条件と、家庭のやり取りは同じではないからです。

今の遊びに新たな条件を足すか迷っているなら、まずは一つ、足さずに楽しむ形を選べます。子どもがどう遊ぶかを見ながら、道具が使いづらい、時間が足りないなど、別の困りごとがあれば一緒に考えます。

ここまでの声かけや道具の準備は、家庭で選べる一般的な提案です。以下の実験が、それらをまとめた方法の効果を検証したわけではありません。

研究では、もともと描くことを楽しむ子どもを調べた

1973年の米国のLepperらの研究では、事前の観察で特定の画材によるお絵描きに関心を示した園児を、賞状のようなカードを先に予告される条件、予告なく後で受け取る条件、受け取らない条件に分けました。

後日の自由時間では、先にカードを予告された条件の子どもは、ほかの条件より同じ画材で過ごす時間の割合が低くなりました。測ったのは、その場で自分から画材を選んで過ごす行動です。生涯の「やる気」を測ったものではありません。研究の原文PDF

この研究は、もともと魅力のあった活動に、報酬を追加する条件を意図的に選んでいます。対象も一つの園の限られた集団で、人種を理由に参加候補から外した子どもがいるなど、現在の家庭へ広く当てはめるには大きな限界があります。片付け、苦手な課題への支援、日々の励ましを一括して評価した研究ではありません。

著者も、ごほうびがいつも、あるいは通常、興味を下げると結論することには注意を促しています。家庭で持ち帰れる問いは、「すでに楽しんでいるこの遊びに、今、新しい条件を足す必要はあるかな」という小さなものです。

参考文献

  • Lepper, M. R., Greene, D., & Nisbett, R. E.(1973)Undermining children’s intrinsic interest with extrinsic reward: A test of the “overjustification” hypothesis. Journal of Personality and Social Psychology, 28(1), 129–137. 大学公開の原文PDF(DOI: 10.1037/h0035519)

親子ジャーナルをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む