この記事の要点
- 歩かなくても、植物は生き物: 移動するかだけで決めず、新しい葉が出る、茎が伸びるといった変化を一緒に見られます。
- 今の姿と、前の姿を比べる: 前に撮った写真や、図鑑の芽から育つ写真が手がかりになります。観察のために新しく栽培を始めなくても大丈夫です。
- 「生き物?」の正解を何度も確かめなくていい: 子どもが気づいた変化を話し、大人から説明して終えても構いません。知識を試す時間にする必要はありません。
犬や虫は生き物。でも木や花について聞くと、「歩かないから違う」と子どもが言う。どこから説明すればよいのでしょう。
「植物も生き物だよ」と伝えたうえで、目の前ですぐには分かりにくい変化へ目を向ける方法があります。この記事では、主に年長ごろから小学校低学年の子と、身近な植物を眺める場面を考えます。
移動するかだけでなく、育つ様子を見る
木や花は、犬のように歩いて場所を移しません。それでも、新しい葉が出たり、茎が伸びたり、花や実がついたりします。植物も、水などを取り入れて生きているものです。
「歩かないね。でも、この前はなかった葉が出ているね」。目に見えることを一つ添えると、子どもが何を見て生き物だと考えているのかも話しやすくなります。
「葉が揺れたから生きている」と言ったときは、風で揺れる動きと、日がたつにつれて育つ変化を分けて見られます。風で動くかどうかだけでは、生き物かを決められません。
生き物の特徴を一度に全部説明する必要はありません。今日は「植物も育つ」と気づいたところで終えてよいでしょう。
前の写真があれば、並べてみる
毎日見ている鉢でも、少しずつの変化は気づきにくいものです。以前撮った写真があれば、今の姿と並べて、「ここに葉が増えたね」と確かめられます。
写真を残していなければ、図鑑の同じ種類の植物の成長写真を見る方法もあります。芽、葉の増えた姿、花の咲いた姿がつながっているページなら、「ずっとこの形のままではないんだね」と話せます。

家で育てていなくても、園や学校、いつもの道で見かける植物が話のきっかけになります。花や葉を取らなくても、その場で見るだけで楽しめます。知らない植物は、口に入れたり、むやみに触ったりせず眺めましょう。
答えを引き出すより、気づきを受け取る
「これは生き物? じゃあこれは?」と次々に聞くと、せっかくの発見が正解当てになりがちです。子どもが「葉っぱが増えた」と言ったなら、その話を続けるだけでも十分です。
水や光が必要なことを話しても、確かめるために水を断ったり、暗い場所へ閉じ込めたりする必要はありません。普段の世話を続けながら、見える変化を話せます。
また、「さみしいから育たない」「言うことを聞かないと枯れる」と、植物の状態を子どもの気持ちや行動の責任に結びつけないようにします。擬人化したお話を楽しむ場面と、実際にどう育つかを調べる場面は分けて考えられます。
研究では、園での経験と理解を比べていた
外山紀子の2009年の研究は、東京都の保育園で、日常的に作物を育てて調理する園と、栽培活動が少ない園の年長児を比較しました。研究1は34人、研究2は別の35人で、平均年齢はいずれも6歳台でした。
個別の聞き取りでは、栽培活動の多い園の子どもが、経験のあるキュウリを、成長などの理由を添えて生きていると答えることが多くありました。研究2では草や木についても園の違いが見られました。一方、研究1のパイナップルでは差がなく、植物なら何にでも同じ理解が広がったわけではありません。研究の原文
子どもを無作為に園へ割り当てた研究ではないため、栽培だけが違いを生んだとは言い切れません。園の環境や会話など、複数の要素が関わる可能性があります。家庭の写真比較の効果を直接確かめた研究でもありません。
この記事の声かけや観察の例は、研究を手がかりにした編集部の提案です。何歳で「植物も生き物」と答えられるべきかを決めるものではありません。今、目の前で見つけた変化から話せれば大丈夫です。
参考文献
- 外山紀子(2009)作物栽培の実践と植物に関する幼児の生物学的理解. 教育心理学研究, 57(4), 491–502.









