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「知ってる」のに、しくみは説明できない。どう確かめる?

使い方を知っていることと、しくみを説明することには違いがあります。「知ってる」を否定せず、分かるところと次の疑問を一緒に探す会話を紹介します。

この記事の要点

  • 何を知っているか、問いを分ける: 名前、使い方、動くしくみは別々に話せます。「知ってる」を全部取り消す必要はありません。
  • 分かるところまで、一緒にたどる: 指さしや簡単な絵も使い、「ここから先はどうなっている?」と一か所を確かめられます。
  • 止まったところを、次の疑問にする: 説明できないことを責めず、調べたい点が見つかったらそこで区切れます。毎回の理解度テストにはしません。

目次

「ファスナーは知ってるよ。でも、どうして閉まるのかは分からない」。そんなときは、「開け閉めの仕方は知っているね。かみ合うところを一緒に見てみよう」と、分かる部分を残したまま話せます。

身近な物でも、使えることと、中で何が起きるかを説明することには違いがあります。小学生くらいの子と、物のしくみへの関心が出た場面を考えます。

「知ってる」の中身を、一つずつ分ける

物の名前を聞いたことがある。使ったことがある。部品がどう動くかも知っている。同じ「知ってる」でも、指している内容はいろいろです。

親がしくみを聞いたつもりでも、子どもは使い方を尋ねられたと思っているかもしれません。「名前のこと?」「使う順番のこと?」と確かめるだけで、話が合う場合もあります。

「説明できないなら、知らないんでしょう」と結論づけず、「使い方は分かったよ。今日は、中でどうなっているかが気になるね」と、次の問いを小さくできます。

全部を話してもらうより、動くところを一つ

ファスナーなら、外から見えるつなぎ目を指す。安全な仕組みの図がある本なら、動く部分を一つ探す。「最初から最後まで正確に説明して」より、今見えている部分から会話を始められます。

子どもが言葉を探していたら、「絵にする? 指で示す?」と別の伝え方も選べます。うまく話せないことだけで、何も分かっていないとは判断できません。

大人も、「私は使えるけれど、この部分のしくみは説明できないな」と言って構いません。子どもだけを試す場にせず、二人とも分からないところを見つける時間にできます。

机に置いたポーチのファスナーを、一緒に眺める親子
使い方と、中で起きていることを分けて話せます。

「ここは分からない」が見えたら、その先を選べる

話してみると、「動くのは分かるけれど、どうつながっているかが分からない」と気づくことがあります。そこで、説明を最後まで完成させなくてもよいでしょう。

以下は編集部による会話の例です。研究で効果を確認した質問のセットではありません。

もう少し見たそう

「この部分が動くと、どこが変わるかな」。外から安全に見える範囲で、一か所に注目できます。

中が見えなくて分からない

「中の図がある本で見てみようか」。電気製品などを、確かめるために分解する必要はありません。

今は説明したくない

「今日はここまでにしよう」。興味のある物でも、話して説明する気分とは限りません。

調べるなら、「この道具について全部」より、「ここの動きは、どこにつながる?」と、見つかった疑問を一つ持って本を開けます。答えを読むだけの日でも、図を眺めるだけの日でも構いません。

ファスナーを実物で見る場合も、指や髪を挟まないよう大人が扱いを確かめます。電源のある物、刃やばねのある道具は、家庭で分解して見せず、図や公式の解説を使いましょう。

研究では、説明する前後で自己評価が変わった

MillsとKeilの2004年の研究では、米国のNew Haven周辺などで集めた子どもに、道具のしくみをどれくらい知っていると思うかを尋ねました。実験1で分析されたのは、キンダーガーテン、小学2年、小学4年の各24人、計72人です。

子どもは評価の仕方を練習した後、5段階で自分の理解を答え、道具のしくみを説明し、もう一度評価しました。小学2・4年の群では、説明した後に自己評価が下がりました。キンダーガーテンの群では、同じ低下は統計的に明瞭ではありませんでした。著者公開の原著

「分かったと思うこと」と「詳しく話してみた後の判断」が、同じとは限らないと考える手がかりです。一方、別の子どもを対象に、作業の手順を説明してもらった実験2では、同じような自己評価の低下は見られませんでした。

主に中流家庭の子どもを対象とした、短い面接課題です。実験1では、評価尺度の理解を確認する課題を通過しなかった27人が分析から外れており、特に年少の子について解釈に注意が必要です。説明させる家庭と、させない家庭を長期に比べた研究ではありません。

この研究から、何歳なら必ず説明できる、説明を繰り返せば学力が上がる、とは言えません。まずは「知っているところ」と「まだ気になるところ」を分ける。新しい疑問が一つ見つかれば、そこから続きを選べます。

参考文献

  • Mills, C. M., & Keil, F. C.(2004)Knowing the limits of one’s understanding: The development of an awareness of an illusion of explanatory depth. Journal of Experimental Child Psychology, 87(1), 1–32. 著者公開PDF/DOI

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