この記事の要点
- 列の長さと、物の数を分けて見る: 長く並んでいるほうが多く見えることがあります。一つずつ対応させたり、数え直したりできます。
- 間を広げたのか、物を足したのかを確かめる: 動かしただけなら個数は変わりません。足したり取り除いたりしたときとは、何が違うかを一緒に見られます。
- 一度分かっても、答えが揺れることはある: その日の返事を理解度の採点にしなくて構いません。気になったときに、目の前の物で確かめる程度からで十分です。
目次
カードを4枚ずつ、二列に並べます。片方の列だけ間を広げると、子どもが「こっちが多い」と言う。さっきは同じ数だと分かっていたのに、と不思議に思うかもしれません。
広がった並びは、見た目の印象が変わります。数をもう一度言わせるだけでなく、何が変わったかを一緒に見る方法があります。数に興味を持ち始めた園児くらいの子を想定しています。
長く見えることには、理由がある
間を広げた列は、実際に端から端までが長くなっています。「長くなったね」と、子どもが見ている違いを言葉にできます。
そのあとで、「カードそのものは増えたかな」と、一つずつ指して確かめてみます。長さの違いと枚数の違いを、同じ問いにしないことがポイントです。
大人が用意するなら、大きくて扱いやすいカードなどを使えます。数は、子どもが一緒に確かめやすい少なさで構いません。口に入る小さな物は使いません。カードを口に入れる子の場合は、この遊びを控えます。
一つずつ相手を作って、並べ直す
長い列と短い列を見比べて迷うときは、一方のカードの向かいに、もう一方のカードを一枚ずつ置き直せます。
「この一枚と、この一枚が向かい合っているね」と対応を確かめ、余るカードがあるかを見ます。数唱がまだ不安定でも、並べ直す操作には一緒に参加できます。
数えたい子なら、動かす前と後に数えてもよいでしょう。大人が答えを隠して当てさせるのではなく、「一緒に確かめよう」と始められます。

「動かす」と「足す」を、別々にしてみる
間を広げたあとに、「今はカードを一枚も足していないね」と、行ったことを短く伝えます。元の並びへ戻してみる方法もあります。
興味が続くなら、今度は見えるところで一枚だけ足して、「さっきは動かしただけ。今は一枚入れたね」と比べられます。取り除いたときは、どのカードがなくなったかも見ます。
一度に、数も間隔も色も変える必要はありません。子どもが遊びたい並びを作っているなら、途中で学習の時間に切り替えず、そのまま遊んでも構いません。
昨日と違う答えでも、最初から教え直さなくていい
あるときは一つずつ数え、別のときは見た目の長さで答えることもあります。一度の正解を「もう完全に分かった」、次の間違いを「忘れてしまった」と決めなくてよいでしょう。
「今は、どこを見て多いと思った?」と聞き、言葉にならなければ指してもらうこともできます。説明できるまで聞き続ける必要はありません。
ここまでのカード遊びや声かけは、編集部による一般的な提案です。家庭で行う回数や、身につける年齢を示す練習メニューではありません。
研究では、同じ子の考え方の変化が追われた
米国のカーネギーメロン大学のSieglerは、数の保存に関する課題でまだ一定の理解を示していなかった、4歳半〜6歳1か月の45人を調べました。ボタンの列を広げるだけの場合と、ボタンを足したり取り除いたりする場合などを比べ、4回の訓練を通じて答えと説明を追いました。
子どもは、列の長さ、数えた結果、足したかどうかなど、複数の見方を使っていました。足したか、取り除いたかなど、行った操作に着目した説明ができても、同じ問題の次の機会に、また別の説明をする場合がありました。原著論文
この研究は事前課題を受けた97人から基準に合う45人を選び、正答のフィードバックや説明の求め方を変えた実験です。家庭の自由な遊びを観察したものでも、日本の子どもが何歳までにできるかを調べたものでもありません。
研究から、親が毎回理由を説明させるべきだとは言えません。今日の答えだけで理解を決めず、気になったときに「何を変えたか」を目の前で確かめるきっかけにできます。
参考文献
- Siegler, R. S.(1995)How does change occur: A microgenetic study of number conservation. Cognitive Psychology, 28(3), 225–273. 研究者所属機関公開全文(DOI: 10.1006/cogp.1995.1006)









