この記事の要点
- 得意を話すときは、その子の最近の様子から: 「お姉ちゃんより」ではなく、「このごろ図鑑をよく見ているね」など、本人の行動や関心を話せます。
- きょうだいと同じことに興味を持ってもいい: 一人ずつ別の得意分野を割り振る必要はありません。やってみたいことは、本人にも聞けます。
- 比べて言ったと気づいたら、短く言い直せる: 「二人を比べて話したね。あなたは今、何をやってみたい?」と話を戻せます。過去の発言を全部やり直さなくて大丈夫です。
「上の子は勉強が得意で、下の子は運動が得意」。それぞれを褒めようとして、家族の中でそんな言い方をすることがあります。
違いに気づくことはあっても、それをずっと変わらない担当のように扱う必要はありません。得意なことの話を、今の本人の関心や取り組みに戻す方法を考えます。
得意の紹介に、もう一人を登場させなくていい
「お兄ちゃんより絵が上手だね」と言いたくなったら、「この絵、色を何色も使ったんだね」と、見えていることから話せます。比べる相手を置かなくても、その子の作品や取り組みについて伝えられます。
親戚などに紹介するときも、「この子は勉強担当」というまとめ方の代わりに、「最近は地図を見るのが好きみたい」と話す方法があります。本人が一緒にいるなら、「今もよく見ている?」と確かめてもよいでしょう。
毎回の褒め言葉を点検する課題にする必要はありません。比べる言い方が気になった場面で、一つ変えてみるくらいから始められます。
同じ趣味でも、違うペースでも構わない
きょうだいが同じ楽器やスポーツをやりたがったら、「それはお姉ちゃんの得意なことだから」と分けず、本人の希望を聞けます。同じことを始めても、同じ速さで進めたり、同じ目標にそろえたりする必要はありません。
反対に、上の子が楽しんだ活動を、下の子も好きになるとは限りません。「お兄ちゃんができたから」だけで勧め続けず、やってみた本人の感想を聞く余地を残せます。

費用や送迎、時間の都合で全ての希望に応えられないときは、その事情を伝えます。「家の予定では今は難しい」と、「あなたには向いていない」は分けて話せます。比べないために、習い事や道具を人数分増やす必要はありません。
比べて話した後も、そこから言い直せる
「さっきは、二人を比べて話したね。得意なことを決めつけずに聞きたい」と、短く伝えられます。子どもがその場で話したくなければ、返事や納得を求め続けなくても構いません。
成績や習い事で困っているときも、きょうだいの経験は参考の一つにとどめ、本人がどこで困っているかを確かめます。同じ教材を使うか、別の助けが必要かも、その子の今の状況から相談できます。
親が一度比べたことで、将来が決まってしまうわけではありません。本人の関心が変わったときに、「前は違ったでしょう」と戻さず、改めて聞く機会を持てます。
きょうだい比較の研究は、どこまで分かっている?
JensenとMcHaleの2015年の研究では、米国の388家庭を年1回、3時点で調べました。最初の時点で上の子は平均15.7歳、下の子は平均13.2歳です。主に欧州系米国人で、両親が婚姻を継続している家庭が対象でした。研究本文
親が、きょうだいのどちらを学業面でより能力があると見ているかと、翌年のきょうだいの成績差に関連がありました。以前の成績差や、二人の平均成績などを考慮した分析でも見られた関連です。
ただし、親の言葉を変える実験ではありません。親の見方が成績差を生んだと断定したり、比較をやめれば成績が上がると結論づけたりはできません。親の能力評価も各親につき一つの質問で測っています。
思春期の学業についての研究なので、幼児や日本の全家庭、スポーツの得意・不得意にそのまま当てはめることもできません。本文の声かけは、研究で効果を確かめた方法ではなく、本人の希望を聞く余地を残すための編集部の提案です。
参考文献
- Jensen, A. C., & McHale, S. M. (2015). What Makes Siblings Different? The Development of Sibling Differences in Academic Achievement and Interests. Journal of Family Psychology, 29(3), 469–478. DOI: 10.1037/fam0000090.









