この記事の要点
- くじに向くことか、先に考える: 同じ遊びを誰から始めるかなど、どの順番でも参加できる場面の選択肢です。必要な助けや安全への配慮まで、くじで決めなくて構いません。
- 何を、どう決めるかを引く前にそろえる: 「一番の人だけ」か「全員の順番」か。参加する人やくじの中身を、分かる形で確かめられます。
- 結果への気持ちも聞いていい: 後の順番になって残念でも、すぐに笑顔を求めなくて大丈夫です。仕組みに分かりにくさや偏りがあれば、大人と見直します。
きょうだいが二人とも「先にやりたい」と言う。くじで決めれば、どちらかをひいきせずに済みそうです。でも、引いたあとに「ずるい」と言われることもあります。
くじは、順番を決める一つの方法です。大切なのは、引いたという事実だけで終わらせず、何を決めるのか、参加の条件はどうかを先に確かめること。主に園児から小学生が、家庭で使う物や遊びの順番を決める場面を考えます。
まず、順番に使えるかを確かめる
二人とも同じ道具で遊びたいなら、最初の人をくじで決めて、その後は交代する方法があります。昨日の続きなら、昨日後だった人から始めるなど、くじを使わない決め方も選べます。
一方で、一人はその場所に届かない、道具を使うには大人の手助けが必要といった事情があるなら、先に使いやすくできるかを考えます。手助けが受けられるかどうかまで、くじ任せにする必要はありません。
体調や安全に関わること、必要な物が足りていないことも、単なる「誰が先か」とは分けます。全員に同じくじを引かせるだけでは解決できない場面があります。
「何が決まるくじ?」を引く前に
例えば、一つの大きなスタンプを順番に使う場面なら、「これから一回ずつ使う。くじで使う順番を決める」と伝えられます。一番を引いた人がずっと使える、という意味ではないことも確かめます。
くじを作るなら、誰が参加するか、番号が一人分ずつ入っているか、外から中身が分からないかを大人が確認できます。子どもが仕組みを知らないまま引いていたら、引く前に一度見せて説明してもよいでしょう。
「くじだから公平」と言うだけよりも、「三人に一枚ずつ、順番の番号が入っているよ」と、このくじが何をするのかを具体的に伝えられます。

「ずるい」の中身は、一つずつ聞く
結果に不満そうなときは、「先にやりたかったんだね」と気持ちを受け止められます。残念な気持ちを聞くことと、望んだ順番が出るまでくじを引き直すことは別です。
ただ、「ずるい」の理由が結果だけとは限りません。「自分の分が入っていなかった」「途中から来た人が参加できると知らなかった」「くじが透けて見えた」など、方法について伝えたい場合もあります。
分かる範囲で話を聞き、仕組みに問題があったなら、元のやり方を押し通さず、大人が整理します。問題が見つからない場合も、「次は何を待っていればいいか」「いつ交代するか」を分かる形で伝えられます。
毎回、くじで決めなくてもよい
家族の小さな順番すべてに、公平の授業を付けなくても構いません。交代、前回の続き、少しずつ一緒に使うなど、その場に合う方法を選べます。
先に決めた方法も、安全や参加しにくさが分かったら考え直せます。「引いたから絶対」と子どもの困りごとを打ち切るためではなく、みんなが使う場面を整理する道具として扱えるとよいでしょう。
この記事のくじや声かけの例は、家庭での一般的な提案です。次の実験が、くじによって家庭の争いを減らす効果を検証したわけではありません。
研究では、結果だけでなく決め方への反応が見られた
Grockeらは、5歳児96人を三人ずつの32組にして、回転盤でシールの入った箱を取る順番を決める課題を調べました。はじめは、どの子にも同じ機会がある回転盤で、同じ枚数のシールを受け取ります。
その後、箱の中の枚数を異ならせ、半分の組では、誰が先になるかが固定される回転盤に変えました。この偏った回転盤の組では、同じ機会のある回転盤の組より、配り方や決め方を変えようとする反応が強く見られました。原著全文
対象は、事前に使い方を習い、回転盤を使うことに合意した子どもたちです。手順を使わなかった組や、話し合いが解決せず実験を終えた組などは分析から除かれています。また、大人が部屋の外で見守る特別な設定でした。家庭のくじや、あらゆる年齢・関係で同じ反応になるとは限りません。
分け方の結果に加え、そこへ至る方法にも目を向けられるという研究です。くじを使うなら、「何を決めるか」「この方法で参加できるか」から、短く確かめられます。
参考文献
- Grocke, P., Rossano, F., & Tomasello, M.(2015)Procedural justice in children: Preschoolers accept unequal resource distributions if the procedure provides equal opportunities. Journal of Experimental Child Psychology, 140, 197–210. 研究機関公開全文(DOI: 10.1016/j.jecp.2015.07.008)









