この記事の要点
- 道具の名前より、したいことを確かめる: 「丸を描きたい」「紙の人形を少し高く置きたい」など、何のために必要かを聞いてみます。
- 使ってよい物の中で、形や大きさを見る: 丸い縁や平らな面など、役立ちそうなところを一緒に探せます。代用品を思いつくことを課題にしなくても構いません。
- 安全のための用途は、変えない: ここで扱うのは机上の紙工作や人形遊びです。人が乗る台、刃物、熱や電気を使う道具などの代用は勧めません。
目次
紙に同じ丸をいくつか描きたいのに、丸い型がない。紙の人形を並べる小さな舞台が欲しいのに、ちょうどよい物が見つからない。
そんなときは、買い足したり作業を諦めたりする前に、何をするための物が必要なのかを確かめられます。安全に扱える材料を使った、机の上の紙工作や人形遊びに限って考えます。
「何が欲しい?」に「何をしたい?」を添える
「道具がない」と言われると、その道具を探し始めたくなります。けれども、やりたいことが分かると、探す範囲を変えられる場合があります。
例えば、丸い型が必要なのは、同じ大きさの丸を描きたいからかもしれません。大人が使ってよいと確かめた紙コップの縁をなぞる方法や、丸い紙を重ねて形を写す方法を一緒に考えられます。
「別の道具でやってみる?」「今日は手で丸を描く?」と聞いてもよいでしょう。元の方法が好きなら、道具がそろうまで続きを置いておくこともできます。
物の名前から、使えそうな部分へ
紙の人形を高く並べたいとき、空き箱を見ても「材料を入れる物」としか思いつかないことがあります。そんなときは、「この面は平らだね」「裏返すと、紙の人形を置けるかな」と、見えている特徴を言葉にできます。
使い方をすぐ教える必要はありませんが、ヒントを出してはいけないわけでもありません。子どもが困っているなら、大人が一つ案を出してから選んでもらえます。
物には決まった使い方があることを知るのも大切です。そのうえで、遊びに使ってよい物については、いつもの用途以外も試せると伝えられます。

試せる範囲は、大人が先に決める
自由に考えることと、家にある物を何でも使ってよいことは別です。大切な物、借り物、壊れやすい物は、勝手に材料にしない約束をしておけます。
空き箱などを使うときも、大人が汚れ、鋭い端、針や留め具がないかを確かめます。小さい子が一緒にいる場合は、口に入る小さな部品を使わないなど、その場の安全も優先します。
人形を置く箱を、人が乗る踏み台にすることはできません。刃物、加熱する道具、電気製品、安全用具などは、見た目が似ている物への置き換えを試す対象にしないでください。
思いつかなかった日も、工作は楽しめる
大人が案を出しても、子どもが元の道具にこだわる日があります。無理に代用品を考えさせなくて構いません。
「そんな使い方もあるね」と発見を楽しむ程度で十分です。「いくつ思いつく?」「前より工夫できた?」と毎回比べる必要はありません。
ここまでの工作例と声かけは、編集部による一般的な提案です。次の実験で、この方法によって家庭での創造性が伸びると確かめられたわけではありません。
研究では、箱の最初の見せ方が比べられた
GermanとDefeyterは、英国の学校で5〜7歳の年齢群、計60人を対象に、模型のクマが棚の玩具に届くように道具を使う課題を行いました。実験者の手続き上の誤りで1人分を除外しています。
解決には、小さな箱を物入れではなく支えとして使う必要がありました。ほかの物を箱の中に入れて見せる条件と、箱の横に置いて見せる条件を比べると、解決できた6歳群と7歳群では、物入れとして見せられたときのほうが解決までに時間がかかりました。5歳群では、この条件差は確認されませんでした。原著論文
各条件・年齢群は10人ほどで、特定の模型課題を用いた実験です。時間の比較は、主に解決できた子を対象にしています。年上ほど工夫が苦手だとも、5歳なら柔軟に考えられるとも言えません。
物の使い方をよく知っていると、別の使い道に気づきにくい場面もある。その可能性を念頭に、名前だけでなく、今役立つ形や部分を眺めてみることができます。
参考文献
- German, T. P., & Defeyter, M. A.(2000)Immunity to functional fixedness in young children. Psychonomic Bulletin & Review, 7(4), 707–712. 研究機関公開全文(DOI: 10.3758/BF03213010)









