この記事の要点
- 同じ物を作りたいか、先に確かめる: 同じ机にいても、思い描いている完成形は違うかもしれません。「二人で一つの道にする?」と聞けます。
- 相手に必要な一部分を、見える形にする: 「ここを押さえている間に、つなげるね」など、今の役割を短く伝えます。全部の手順を決めなくても構いません。
- 続けにくくなったら、区切りを相談する: 交代する、つなぐところだけ一緒にする、別々に作る。協力の練習のために遊びを続けさせなくて大丈夫です。
目次
友だちと同じ机で工作しているのに、一人は道をつなげたくて、もう一人は家をたくさん作りたい。「仲よく一緒に作ってね」と声をかけても、うまくかみ合わないことがあります。
そんなときは、助け合う気持ちを求める前に、そもそも何を一緒にしたいのかを確かめられます。主に園児同士の制作や、家できょうだいと遊ぶ場面を考えます。
同じ場所にいることと、同じ物を作ることは別
一緒に座っていても、それぞれ自分の作品を作っているなら、別々に進めることは自然な遊び方です。大人が見ただけで、一つの作品にする約束があるとは限りません。
「道と家をつなげて、一つの町にしたい?」「それとも、自分の分を作りたい?」と聞いてみます。言葉で答えにくければ、作っている物を指して確かめてもよいでしょう。
二人の希望が違ったら、それぞれ作ったあとに並べる方法もあります。どちらかが譲るまで、一つの作品にまとめなくても構いません。
「協力して」より、今どこで手が必要か
一つの物を作ると決まっても、相手の作業がどこまで進んでいるかは、見ているだけでは分かりにくい場合があります。
例えば紙の道をつなぐなら、「こっちの端を押さえていてほしい」「テープを貼ったら、手を離していいよ」と、必要な部分を示せます。大人が代わりに全部説明するより、子どもが指したり一言足したりするのを手伝う程度からで十分です。
「早いほうが全部やる」「上の子がいつも助ける」と役割を固定する必要もありません。作業の途中で交代したり、やりたい部分を聞き直したりできます。

自分の分が終わったとき、相手の様子も確かめる
自分の作業が終わると、次の遊びへ行きたくなることもあります。「まだ相手が終わっていないのに」と責める前に、どこまで一緒にするつもりだったかを見直します。
「道はできたね。家につなぐところも一緒にする?」「今は休みたい?」と聞き、残っていることと、続けられるかを分けて考えられます。
最後まで協力する大切さを話す場面はあっても、疲れた子や嫌がっている子を、その場に引き留める理由にしなくてよいでしょう。途中で抜けるなら相手に伝え、困る部分を大人が引き取る方法もあります。
遊びを、協力できたかの採点にしない
二人で完成できた日も、別々に作った日もあります。一回の様子から、「協調性がない」「思いやりが足りない」と決めることはできません。
家庭で試すなら、作りたい物を確かめることや、必要な手助けを一つ見えるようにすることから。毎回、目標と役割を話し合う時間を設ける必要はありません。
ここまでの工作例や声かけは、編集部による一般的な提案です。次の研究で、これらの方法の効果が直接検証されたわけではありません。
研究では、自分の分を取ったあとも協力するかが調べられた
Hamannらの研究では、ドイツ語を母語とし、都市部の園に通う子どもが、二人で持ち上げないと動かない装置を使い、木のブロックを取り出しました。主な実験は、平均月齢32か月と44か月の子ども各12組、計48人です。
一人が先に自分のブロックを取れたあと、相手も取れるまで手伝うかを調べました。年上の群では、最初から二人で動かしていた条件のほうが、先に自分の分をそのまま取れる条件より、すぐに協力を続けることが多くなりました。年下の群では、この条件差は確認されませんでした。原著論文
ただし、少人数で、使い方を事前に教えた装置による実験です。共同作業によって相手に注意が向きやすくなった可能性なども、完全には区別できていません。年齢群の違いを、一人ひとりの協力できる年齢の基準にはできません。
工作で大人が目標を言えば必ず協力できる、と示した研究でもありません。「同じ場所で遊ぶ」と「二人とも終わるまで一緒に取り組む」には違いがある。その違いを意識しながら、今の二人に合う遊び方を探せます。
参考文献
- Hamann, K., Warneken, F., & Tomasello, M.(2012)Children’s Developing Commitments to Joint Goals. Child Development, 83(1), 137–145. 研究機関公開全文(DOI: 10.1111/j.1467-8624.2011.01695.x)









