この記事の要点
- 役を一つ、教えてもらう: 「私は誰の役?」から。大人が最初から物語を用意しなくても参加できます。
- 設定が変わったら、短く確かめる: 「今はお店なのね」と受け取り直す。現実と同じ筋書きに直す必要はありません。
- 付き合える場面を決めていい: 注文を一回する、出発を見送る。その日にできる役で参加する選択肢もあります。
目次
「お客さんやって!」「それは違う、こう言って!」。誘われたので加わったのに、どう動けばよいか分からない。ごっこ遊びの相手をする大人にも、そんな戸惑いがあります。
まずは「私は誰の役?」「何を言えばいい?」と、今必要な役を一つ教えてもらってみませんか。親が面白い展開を考え続けなくても、子どもの設定を受け取って返すところから入れます。
ここでは、主に3〜5歳の子どもに誘われたときの参加方法を考えます。以下の会話例や区切り方は編集部の提案です。ごっこ遊びの頻度や内容で、発達を判断するものではありません。
「何の遊び?」より、今いる役を一つ聞く
子どもが椅子を並べているとき、大人には電車なのか、お店なのか分からないことがあります。最初に世界の全体像を説明してもらうより、「私はここに座る人?」と、今の動きを確かめる方法もあります。
「お客さん」と言われたら、「何を頼めるお店ですか?」。運転手になってほしいなら、「どこへ出発しますか?」。一つ返してみて、子どもが続ける言葉や動きを待ちます。
米国の公的な幼児教育事業Head Startの実践資料も、子どもの関心を観察して、ごっこ遊びではその子の方向に沿って加わることを勧めています。身振りなど、言葉以外の反応を見て参加する方法にも触れています。公的資料
説明するのが難しそうなら、子どもが渡した器を受け取って食べるふりをする、といった短い動きからでも。質問で遊びを止めず、見て分かることに合わせられます。

「違う!」と言われたら、せりふを聞いてみる
大人が「おいしいですね」と言うと、「まだ食べちゃ駄目!」。そんなときには、「先に待つんだね。次は何を言おうか」と、子どもが考えている場面を聞くことができます。
毎回訂正されて疲れるなら、「せりふを教えてくれたら、その通りに言ってみるよ」と伝えてもよいでしょう。言われた一言を返すだけなら、即興が苦手な大人にも参加の入口になります。
もちろん、ずっと指示通りに演じ続ける約束はしなくて構いません。「その声をずっと出すのは疲れるから、普通の声のお客さんでいい?」と、自分ができることも伝えられます。
これは特定の言い方で子どもが納得するという保証ではありません。うまく折り合わなければ、「今は一緒に続けるのが難しいね」と区切ることも選択肢です。
設定が変わっても、全部つじつまを合わせなくていい
さっきまで電車だった椅子が、急に宇宙船になる。お店の人が、いつの間にかお医者さんになる。大人が理解していた設定と変わると、置いていかれた気持ちになることもあります。
そのたびに「さっきは電車だったでしょう」と戻す代わりに、「今は宇宙船なんだね。ここに座っていていい?」と受け取り直してみる方法があります。分からないところは、今いる場面だけ聞けば十分です。
現実の買い物や仕事の流れを教えることが目的でなければ、遊びの中の不思議な設定を、すべて訂正する必要はないでしょう。気になる実際の知識は、遊びの途中で説明し切らず、別の機会に話すこともできます。
長く演じられない日の、三つの参加方法
途中で疲れる前に、できそうな役割を小さくするための例です。
終わりを伝えても「もっと」と言われる日はあるでしょう。その場で延長しなければいけないわけではありません。次に遊べるか分からない日は、無理に約束を付け足さず、「今日はここまで」にできます。
道具を買い足す前に、今の設定を聞いてみる
遊びに足りない物があると言われると、専用のおもちゃが必要かと思うかもしれません。Head Startの資料では、道具やおもちゃを必ず使わなくてもごっこ遊びができると紹介しています。公的資料
そこで、まず「何をするための物?」と聞いてみる方法があります。電話なら手で持つふり、入場券なら空中で渡すふりでよい日も。手持ちの年齢に合った玩具を使っても構いません。何かを準備することが、その日の遊びに入る条件とは限りません。
この工夫で、何が分かっている?
紹介したHead Startのページは、幼児教育の現場や家庭で使う実践資料です。本稿の「一回だけ買い物をする」「せりふを教えてもらう」といった例の効果を比較した実験ではありません。
また、ごっこ遊びを増やすほど知能や社会性が伸びる、親が上手に演じれば子どもの力が高まる、と本稿から言うことはできません。ごっこ遊びを好むかどうかも、この記事で評価する対象ではありません。
ここで増やしたいのは、誘われたときに大人が選べる参加の仕方です。「今日はお客さんを一回」。親子でできる小さな場面が見つかれば、そこから始められます。
参考文献・資料
- Office of Head Start. It’s Make-believable. 公式実践資料
資料確認日:2026年10月13日









