この記事の要点
- 考えたことも、手を動かしたことも聞く: 「私が考えた」「僕が貼った」の両方を確かめます。作業時間だけで持ち帰る人を決めなくても構いません。
- 作品の紹介と、置き場所を分ける: 誰が何をしたかを伝えることと、現物をどこに置くかは、別々に相談できます。
- 決まらない日は、大人がいったん預かれる: 持ち帰りを急がず、園や教室の決まり、その後に相談する相手を確かめます。
二人で一つの工作を作ったら、「私が考えたから、私の」「僕がいっぱい貼ったんだよ」と、どちらも持ち帰りたがる。そんなときは、まず作品を引っ張らずに置き、二人の「自分がしたこと」を聞けます。
誰がどれだけ作業したかの勝負にせず、作品をどう紹介するか、どこに置くかを分けて相談する方法があります。園児後半から小学生の、日常の共同制作を考えます。
「作った」の中には、いくつかの役割がある
何を作るか思いついた。形を描いた。紙を選んだ。貼り合わせた。本人が大事にしているのは、目に見える作業量だけとは限りません。
「どの部分を考えたの?」「どこを一緒に作った?」と、話せるところから聞きます。大人が見ていたなら、「この並べ方は考えてくれたね。ここは二人で貼ったね」と、確かめられることを添えられます。
ただ、記憶が違うところまで、その場ですべて決着させる必要はありません。「そこは二人の話が違うね。先生にも聞こう」と保留できます。片方がうまく話せないから、もう片方の物になるわけでもありません。
誰が作ったかを伝えることと、現物の行き先を分ける
家に持ち帰りたい理由が、「家族に自分の工夫を見せたい」なら、作品の紹介の仕方も話題にできます。「この形を考えたのは私、貼ったのは二人」と、一緒に話す方法もあります。
それで持ち帰りたい気持ちがなくなるとは限りません。まず伝えたいことを聞いてから、現物をどうするかを別に相談します。
写真を残す方法を提案する場合も、本人たちがよいと思うか、撮影してよい場所や作品かを確かめます。「写真があるから現物は譲って」と、すぐ交換条件にしなくてもよいでしょう。

置き場所は、今できる範囲から相談する
園や教室で作った物なら、展示や持ち帰りについて決まりがあるか、担当の大人に確認します。家での工作なら、共有の場所に置くなど、二人がまた見られる方法を探せます。
以下は編集部による相談の選択肢です。どれが公平かを一律に決めるものではありません。
作品を半分に切る、もう一つ作らせるなども、本人たちが望んでいなければ解決にならないことがあります。形を変えたり処分したりする前に、二人へ確かめたいところです。
次に一つの物を作るときは、「できたら、どこに置きたい?」と先に話せます。細かい取り決めを毎回作るより、持ち帰りが気になりそうな場面で一つ確認する程度からでよいでしょう。
研究では、発想と作業が違って評価された
Liらの2013年の論文には、4歳20人と6歳20人に、人形二人が一枚の絵を作る話を聞かせた実験があります。一人がアイデアを出し、もう一人がその指示で絵を作った後、どちらが絵を持ち帰るべきかを尋ねました。
6歳の群では20人中18人がアイデアを出した人を選び、4歳の群では10人ずつに分かれました。誰がアイデアを出したかは、どちらの年齢群も多くの子が覚えていました。原著・実験3
これは、発想も作品を評価する手がかりになり得ると読む研究です。「アイデアを出した子に渡すのが正しい」という結論ではありません。研究者が用意した人形の話への二択の回答で、実際に一緒に工作した子同士の話し合いを調べてはいません。
米国の大学に所属する研究チームによるものですが、実験3の参加者説明には、募集先が発達研究室や地域の博物館とあるだけで、実施国・地域は明記されていません。日本の家庭への一般化や、一人ひとりの年齢による判断には限界があります。
また、法的な所有権を決める研究でもありません。家庭での置き場所や会話の例は、編集部の提案です。二人がそれぞれ何を大切にしているかを聞き、今日の作品の行き先を、大人も一緒に考えられます。









