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絵本に知らない言葉が出てきた。全部やさしく言い換えたほうがいい?

絵本の知らない言葉を、全部やさしく変える必要はある? 気になった言葉に短い意味を添える、続きを楽しむ、別の本を選ぶ。家庭で選べる読み方と、研究から分かる範囲を紹介します。

この記事の要点

  • 全部を言い換える準備は不要。お話を楽しんでいるなら、そのまま読んでみる選択肢があります。
  • 聞かれた言葉は、元の言葉も残して、場面に合う短い意味を添えられます。理解を確かめるクイズにしなくても構いません。
  • 研究は、原文のまま読む方法と言い換える方法の優劣を決めていません。以下の読み方は、家庭で選べる編集部の提案です。

目次

  1. まずは「今、何を楽しんでいる?」から
  2. 言葉を消す代わりに、短い意味を添える
  3. 大人も分からないとき、話が難しすぎるとき
  4. 読んだ後に、覚えたかを確かめなくていい
  5. 研究から分かることと、まだ言えないこと
  6. 参考文献・資料

知らない言葉がありそうでも、先回りして全部をやさしい言葉に変える必要はありません。まず本の言葉で読み、子どもが「どういう意味?」と気にしたところに短い説明を添える、という読み方を選べます。

一方で、一字一句そのまま読むことを親の課題にしなくても大丈夫です。説明を添える、いったん止まる、別の本を選ぶ。その日の子どもの関心と、大人の余力に合わせて考えてみましょう。

まずは「今、何を楽しんでいる?」から

昔話や少し長い絵本を開くと、普段の会話ではあまり使わない言葉に出会います。「まだ知らないだろうから」と、読むたびに言い換えを考えるのは大変です。

主に4〜6歳ごろの子どもと読む家庭を想定して、まずは二つの場面に分けてみます。

続きを聞きたがっているなら、言葉を一つずつ説明せず、お話を進める。ある言葉で止まって「それ、何?」と聞いたら、その場で短く答える。どちらも選べます。

質問が出ないことだけで、すべて理解したとも、何も分かっていないとも決めつけなくてよいでしょう。知っている言葉の数を調べるために読むのではなく、一緒に楽しめる読み方を探す時間にしてみます。

言葉を消す代わりに、短い意味を添える

「難しい言葉をそのまま読む」か「やさしい言葉に置き換える」かの二択にせず、元の言葉の後に説明を添える方法があります。

以下は編集部が作った会話例です。特定の絵本の引用や、効果を確かめた指導の台本ではありません。

「こかげって、何?」と聞かれたら

「こかげは、木が日差しをさえぎって、日かげになっているところだよ」

ページに木の影が描かれていれば、「ここがこかげだね」と指してもよいでしょう。絵にないものまで探させたり、説明の後に同じ答えを言わせたりする必要はありません。

幼児と大人が並んで絵本を開き、子どもが木の下の影を指しながら同じページを見て話している。
気になった言葉に短い意味を添えたら、続きへ戻っても。家庭での読み方を示すイメージです。

「しょんぼりって?」と聞かれたら

登場人物ががっかりしている場面なら、「がっかりして、元気がない様子だね」と短く添えられます。その後は「それで、どうなったのかな」と続きへ戻っても。

一つの言葉にいくつもの使い方があるときも、その場面での意味から話せます。辞書に載る説明を全部読み上げることや、別の意味まで一度に教えることを目標にしなくて構いません。

説明より続きを聞きたそうなら

「続き、読もうか」と戻ります。大人が説明を足し始めたところで「知ってるよ」「先を読んで」と言われたら、説明を切り上げてもよいでしょう。

反対に、言葉そのものに興味が向いたなら、少し話しても。毎回同じ手順にそろえず、物語を進める時間と言葉を話す時間を、その場で選べます。

大人も分からないとき、話が難しすぎるとき

意味がはっきりしなければ、推測を答えとして教えず、「私もよく分からないな」と伝えられます。気になるなら読んだ後に辞書や図鑑で確かめる。その場ですぐ調べる余裕がなければ、いったん続きへ戻っても構いません。

知らない言葉が多く、子どもが「分からないから、もういい」と言うときは、一冊を説明し尽くすより、「別のお話にする?」と選び直す方法もあります。絵を眺めるだけにしたり、今日は閉じたりしてもよいでしょう。

逆に、大人から見て難しそうでも、本人がその本を選んで続きを楽しみにしているなら、すぐ取り上げる必要はありません。「難しい本を読ませる」「やさしい本だけにする」という決まりを作らず、今の反応に合わせる提案です。

読んだ後に、覚えたかを確かめなくていい

説明をしたからといって、読み終わりに「こかげって何だった?」と出題する必要はありません。子どもから言葉やお話について話し始めたら、聞いたり、一緒にページへ戻ったりできます。

東京都立図書館の家庭向け案内も、絵本を理解したか試すような質問や、文字・数の問題集のように使うことを勧めていません。家庭ごとに読み聞かせを楽しむという考え方が紹介されています。これは図書館による助言で、特定の読み方の効果を比べた実験結果ではありません。東京都立図書館の案内

一度説明した言葉を、次の日にまた聞かれても、そこで覚えさせる課題にしなくてよいでしょう。答えられるときに短く答える。そのくらいの付き合い方も選べます。

文字のない絵本や電子絵本も気になるときは、本の選び方や読み方を場面から探すことができます。今日読みたい一冊に合わせて、必要な記事だけ選んでください。

研究から分かることと、まだ言えないこと

絵本には、会話とは違う言葉との出会いがある

2015年の研究は、幼い子ども向けの英語の絵本100冊と、米国英語の親子会話の記録を分析しました。比べる文章の長さをそろえると、絵本のほうが異なる種類の単語を多く含む傾向がありました。原著の方法と結果

これは文章の分析です。子どもに読み聞かせて能力の変化を測った実験ではなく、「言い換えると語彙が伸びない」と示したものでもありません。日本語の絵本すべてに同じ差があるとも言えません。

難しい言葉について学べた研究もある

2014年に発表された英国の研究では、4〜5歳75人と6〜7歳70人が、難しい言葉を9語含む研究用のお話を、学校で先生から聞きました。各語には意味の説明が入り、お話は週に1回、3週間読まれています。

最後の読み聞かせから1週間以内の課題では、両年齢群とも、聞いた言葉のほうが、聞いていない比較用の言葉より、意味に合う絵を選んだり意味を説明したりする成績が高くなりました。原著の方法・結果

ただし、「原文のまま読む」「やさしい言葉へ置き換える」「説明しない」を比べた研究ではありません。説明だけの効果を、言葉やお話に繰り返し触れた効果から分けることもできません。英語で行われた学校の読み聞かせで決められたお話を使った結果を、日本の家庭での読み方へそのまま当てはめることはできないのです。

この研究から、毎回9語を教えたり、必ず3回読んだりする必要はありません。長期的な語彙力や、本を好きになる程度も調べていません。

二つの研究を手がかりにできるのは、絵本が普段と違う言葉に触れる機会になり、なじみのない言葉について学べる場合もある、という範囲です。この記事の会話例や説明のタイミングの優劣が、直接確かめられたわけではありません。

だから、知らない言葉を見つけるたびに消したり、全部を覚えさせようとしたりせず、気になった言葉を一緒に眺めてみる。今日はお話の続きを楽しむ。それぞれを選べる余地を残しておきましょう。

同じ一冊を何度も選ぶことが気になるときは、子どもの「もう一回」との付き合い方も紹介しています。

参考文献・資料

  1. Montag, J. L., Jones, M. N., & Smith, L. B.(2015). The words children hear: Picture books and the statistics for language learning. Psychological Science, 26(9), 1489–1496. 無料全文 / DOI
  2. Houston-Price, C., Howe, J. A., & Lintern, N. J.(2014). Once upon a time, there was a fabulous funambulist…: what children learn about the “high-level” vocabulary they encounter while listening to stories. Frontiers in Psychology, 5, 75. 無料全文 / DOI
  3. 東京都立図書館. 家庭での読書について教えてください<3歳から6歳>. 公開・更新日の表示なし。

資料確認日:2026年10月16日

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