この記事の要点
- 「どこが嫌だった?」から聞く: 同じ絵になったこと、黙って見られたこと、自分の工夫だと分かってもらえないこと。気になる点を一つずつ確かめられます。
- 似ているだけでは、経緯は分からない: 同じ見本を見た場合もあります。相手がまねしたと、その場で決めつけなくても構いません。
- 次にしてほしいことを短く伝える: 「見る前に聞いてほしい」「この部分は自分で考えたと伝えたい」。言いにくければ大人が間に入れます。
「わたしの絵を、まねされた!」。そう言われたら、まず「自分で考えたところだったんだね。どこが嫌だった?」と聞いてみます。「まねされるほど上手なんだよ」で、すぐに気持ちを収めようとしなくても大丈夫です。
一方、二つの絵が似ているだけで、相手を責めるところまで進める必要もありません。園児から小学生の自由なお絵描きで起きる、アイデアをめぐる行き違いを考えます。
同じ絵になったことの、何が気になる?
家の形は同じでも、子どもが大事にしていたのは屋根に描いた星かもしれません。完成した絵より、「こんな家にしよう」と考えたことを知ってほしかったのかもしれません。
「この星の屋根を考えたんだね」と、話してくれた工夫を具体的に受け取れます。全部を聞き出さなくても、「勝手に見られたのが嫌だった」という一言があれば、そこから次の相談ができます。
「ほめられたとき、自分が先に考えたって言えなかった」と話すなら、その点も聞けます。自分の作品を紹介したい気持ちと、相手の作品をやめさせたい気持ちは、同じとは限りません。
二つの作品だけで、まねしたと決めない
同じ絵本や見本を見ていれば、似た絵になることがあります。別々に考えて、同じものを描くこともあります。親がその場を見ていなければ、「似ているのは分かったよ。描いていたときは、どうだった?」と、分かる範囲を聞けます。
相手にも確かめる必要があるときは、先生など、その場にいた大人へ具体的な出来事を伝えます。「まねする子だから」と、相手の性格を決める言い方は避けたいところです。
子どもが言っていることを全部証明できなくても、嫌だった気持ちは聞けます。親だけで、どちらが最初だったかの判定を急がなくても構いません。

「まねしないで」の先を、短い言葉にする
落ち着いて話せそうなら、次にどうしてほしいのかを一つ選べます。言葉はきれいに整っていなくても、その子が言えそうな長さで十分です。
子ども同士で説明し合うのが難しいときは、大人が「この部分を大切にしていたんだね」と間に入れます。本人に言わせることを、相談に乗る条件にしなくて大丈夫です。
自分の子が友だちの絵を参考にしたいときも、「そこ、いいね。同じように描いてもいい?」と聞く例を示せます。「○○さんの絵を見て思いついた」と話す方法もあります。自由なお絵描きと、先生が見本をまねるように出した課題とでは、活動の目的も確かめましょう。
からかいながら繰り返す、作品を壊すなどの出来事があるなら、「まねしてよいか」だけの問題にせず、その具体的な行為を先生へ伝えます。
研究では、絵をまねる場面をどう受け止めていた?
米国の研究チームによるOlsonとShawの2011年の研究では、3〜6歳の81人に、人形が別の人形の絵を見て描く動画を見せました。5〜6歳群は、そっくりの絵を描く人形を、違う絵を描く人形より否定的に評価しました。3〜4歳群では、同じ違いは確認されませんでした。著者が公開する研究PDF
これは、他人のアイデアを使うことに、幼い子も関心を持つ場合があると考える手がかりです。ただし、動画の登場人物への評価であり、実際に絵をまねされた子の気持ちや、友だちとの解決方法を調べた研究ではありません。年齢差の一部は探索的な分析で、何歳なら必ず理解すると決めるものでもありません。
ここで紹介した聞き方や伝え方は編集部の提案です。研究から、すべてのまねが悪いとも、紹介した言葉で争いが解決するとも言えません。
自分で考えた工夫を大切にすることと、友だちの話を確かめること。両方を少しずつ扱いながら、今日困っている一点から相談できれば十分です。
参考文献
- Olson, K. R., & Shaw, A.(2011). ‘No fair, copycat!’: What children’s response to plagiarism tells us about their understanding of ideas. Developmental Science, 14(2), 431–439. 著者公開PDF/DOI
資料確認日:2026年10月13日









