この記事の要点
- 電子絵本も、親子で楽しむ選択肢になる: 紙か画面かだけで決めず、子どもが見たい内容や、親子が一緒に見やすいかを確かめます。
- 操作の注意ばかりになったら、機能や置き方を見直す: 音や動きを減らせる設定にする、二人から見える位置に置く、紙の本へ替えるなど、選べる方法があります。
- どちらか一方に統一しなくていい: 好きな本をその日の状況で選べます。電子絵本を使ったことから、子どもの将来の読む力が決まるわけではありません。
目次
タブレットで絵本を開くと、子どもは絵を触り、音を鳴らして楽しんでいる。でも、親は「そこは押さないで」「まだ次のページにしないで」と言ってばかり。紙の本に戻したほうがよいのか、気になることがあります。
電子絵本にも、紙の絵本にも、親子で楽しむ形があります。まず見たいのは、どちらの形式を選んだかより、その本を前に何が起きているかです。好きな絵を一緒に見ているのか、操作で困っているのか、今は一人で触って遊びたいのか。場面に合わせて、読み方や本を選び直せます。
研究でも、使った本や機能、子どもの年齢、何を測ったかによって結果は異なります。「電子ならだめ」「紙なら必ず学べる」と、ひとまとめにはできません。
音や動きが、どんな楽しみにつながっているか見る
電子絵本には、ページをめくるだけのもの、音声が流れるもの、絵に触れると動くものなどがあります。機能の多さだけで、親子に合うかどうかは決まりません。
例えば、犬の絵を見て鳴き声を一緒に聞く時間を楽しんでいるなら、「犬がいたね」と反応できます。一方、物語を読みたいのに別の音が何度も鳴り、親子ともに落ち着かないなら、変更できる設定があるか確かめる余地があります。
自動の読み上げや音を止められる場合は、止めたほうが読みやすいか試せます。機能を減らせない場合も、無理にその本を読み切らず、ほかの本へ替える方法があります。特定の設定にすれば必ず理解が深まる、と研究で決まっているわけではありません。
ここで紹介する選び方や読み方は、編集部による実践例です。研究で使ったアプリを買うことや、親が毎ページで質問することを勧めるものではありません。
二人から同じページが見える置き方にする
子どもが画面を抱え込み、大人には何を見ているのか分からない。反対に、大人が持ち続けて、子どもが触れるところがない。そんなときは、二人から見える角度や場所を探してみます。
膝の上や低いテーブルなど、安定して置ける場所を選び、「次はここでめくろうか」と一緒に確かめます。指さすと別の機能が動く本では、大人が絵のそばを示すなど、操作の仕方を変える方法もあります。

紙の絵本でも、子どもがページをどんどんめくる日はあります。最初から最後まで文章を読むことだけを条件にせず、今見たい絵を少し眺める読み方もできます。話しかけても反応がないとき、質問を重ねて会話を増やそうとしなくてもよいでしょう。
一緒に見ている時間に、指した絵や出てきた言葉を受け取る。静かに同じページを楽しむ。親子のやり取りは、発言の回数だけで決まるものではありません。
操作に夢中な日は、何をする時間か選び直す
子どもが音を鳴らしたいのに、大人は物語を読み進めたい。そんなすれ違いに気づいたら、「今は音を聞きたいんだね。お話はあとにする?」と区切る方法があります。
電子絵本を開いたからといって、毎回すべてを学びにつなげる必要はありません。その場で読み聞かせとして続けにくければ、終えて別の遊びにする、別の時間に紙の本を読むなど、暮らしに合う選び方ができます。
紙の本のほうが楽な日も、手元の電子絵本を一緒に見る日もあってかまいません。端末を使うことへの不安から毎回の読書を採点するより、今の本が読みやすいか、親子ともに続けたいかを手がかりにできます。
2〜3歳の親子を比べた研究で分かったこと
Munzerらの2019年の研究では、米国で24〜36か月の子どもと保護者37組が、紙、基本的な電子版、音などの機能が多い電子版を、それぞれ5分ずつ一緒に読みました。本の題名と形式を読む順番が偏らないように組み合わせた実験です。原著の方法・結果
この条件では、紙の本で、親が内容について問いかけたり、子どもの経験につなげたりする発言や、子どもが本に関わる発言をする場面が多く見られました。親子で一緒に読む様子の評価も、紙のほうが高くなっていました。一方、親子が共有する楽しそうな感情の評価には、形式による明確な差はありませんでした。
電子版の読み上げは原則オフで、使ったのは一つのシリーズとアプリです。読んだ内容の理解や、その後の言葉の発達は測っていません。すべての電子絵本が同じ、という結果ではありません。
別の電子絵本では、違う結果もある
Strouse・Ganeaの2017年のカナダでの研究では、17〜26か月の子ども102人を、親と電子版か紙版を読む条件に分けました。電子版には読み上げや自動の音・動きがあり、絵を触って追加機能を出す仕組みはありませんでした。紙版は同じ画面を印刷して作っています。原著の方法・結果
この研究では、電子版のほうで子どもが本へ注意を向ける様子が多く見られました。2019年の研究とは年齢、教材、機能、比較の仕方が違うため、二つの結果をそのまま優劣の対決にはできません。どちらの研究も限られた年齢・教材を用いた短時間の実験で、家庭で長く使った結果を追ったものではありません。
形式だけでなく、中身や機能、親子がどう使うかも一緒に見ることが大切だと考えられます。ただし、どの要素が結果の違いを生んだかは、この二つを並べるだけでは決まりません。
まずは、今の一冊で、親子が同じものを見て楽しめているかを確かめる。操作の注意ばかりになるなら、機能、置き方、本そのもののどれかを変えてみる。紙か画面かを一度で決着させず、その日の親子に合う読み方を選べます。
参考文献
- Munzer, T. G., Miller, A. L., Weeks, H. M., Kaciroti, N., & Radesky, J.(2019)Differences in Parent-Toddler Interactions With Electronic Versus Print Books. Pediatrics, 143(4), e20182012. DOI: 10.1542/peds.2018-2012.
- Strouse, G. A., & Ganea, P. A.(2017)Parent–Toddler Behavior and Language Differ When Reading Electronic and Print Picture Books. Frontiers in Psychology, 8, 677. DOI: 10.3389/fpsyg.2017.00677.
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