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地図を見ても場所が分からない。何から一緒に見る?

地図を見ても今いる場所が分からないときは、入口などの目印と地図の向きを一つずつ確認できます。模型の研究と国内の授業実践を手がかりに、親子で地図を見始める工夫を紹介します。

この記事の要点

  • 見える目印を、一つだけ地図と結び付ける: 入口や建物など、いま見えている物を選び、実物と地図の両方で確かめます。
  • 地図を持つ向きも見直す: 手元の地図なら、目の前の並びと対応する向きに回してみます。向きを頭の中で変えるところが難しい場合もあります。
  • 現在地が分かったら、次の一か所へ: 遠くの目的地まで全部読ませず、「ここから次の目印まで」を大人と一緒に見ていけます。

目次

公園や施設で案内図を渡してみたけれど、子どもは「どこにいるの?」と首をかしげる。地図上の入口を指しても、目の前の景色とつながらない様子のことがあります。

そこで地図記号を全部説明するより、まず「この入口は、地図のどこかな」と一つ対応を確かめる方法があります。主に年長ごろから小学校低学年の子どもと、地図を見始めるときの工夫を考えます。

出先で急いでいる日は、大人が案内してかまいません。地図を見ることを、移動のたびの課題にしなくてもよいでしょう。

地図と実物で、同じ目印を一つ見つける

「ここが入口だね。地図にも入口があるね」。最初は、子どもが見て分かる物を選びます。入口、広い建物、池など、目の前にある物が候補になります。

同じような建物が複数あるなら、「池の隣の建物」「入口の近くの建物」と、ほかの物との位置関係も一つ添えます。「この形は何の記号?」と次々に当ててもらう必要はありません。凡例に書いてある意味を、大人が一緒に読む方法もあります。

地図の絵と実物の見た目が違う場合は、「これは上から見た形なんだね」と確かめられます。ただし、すべての案内図が同じ描き方ではありません。その地図の説明に合わせて見ていきます。

手元の地図を、目の前の並びに合わせてみる

手元の地図では入口が右、目の前では入口が左。そんなときは、地図を回して、実際の場所と対応する向きを探してみます。

一つの目印だけでは向きを決めにくければ、入口と建物など二つを使います。「入口から見て、建物はこの側だね」と、地図と景色を交互に見られるようにします。地図の上をいつも進む向きと考えず、その案内図の向きも確かめましょう。

固定された案内板は回せないので、大人が位置関係を指し示してもかまいません。子どもに頭の中で回転させることを必ず求めず、「ここが今いる場所」「この先が入口」と分かる部分を補います。

どの建物か分からないとき

目印を一つに絞り、周りの物も見ます。「池の隣の建物」など、その物の位置を手がかりにできます。

反対へ行こうとするとき

すぐに間違いと採点せず、地図の向きと現在地を一緒に確認します。手元の地図なら、回して対応を確かめます。

遠い目的地までたどれないとき

次に見える目印までを一緒に見ます。残りの道は、そこに着いてから確かめてもかまいません。

今いる場所が分かったら、次の一か所を見る

入口の位置が分かったら、次は近くの建物や道の分かれ目へ。「いまはここ。次に見えるのはこれだね」と、地図と実際の移動を少しずつ対応させます。

地図を持つ役、目印を見つける役など、そのとき子どもがやってみたい部分だけ任せてもよいでしょう。大人が場所を説明して、子どもが地図上を指す形でも楽しめます。

公園の案内図の前で立ち止まった親子が、図に描かれた入口と目の前の入口を一緒に確かめている。
まずは、見えている目印と地図の対応を一つ確かめます。日常の場面例です。

読むときは、人や車の通行を妨げない安全な場所で立ち止まり、大人と一緒に確認します。地図が使えたことを、一人で移動できるかどうかの判断には使いません。

家の中なら、部屋の簡単な見取り図で入口と机の位置を見る方法もあります。家や通学路の地図を作っても、住所や行動が分かる形で公開する必要はありません。ここまでの方法は家庭での工夫で、以下の研究で一式の効果が検証されたものではありません。

模型の地図課題では、向きが変わると難しくなった

トルコの研究では、イスタンブールの四つの公立就学前施設に通う、61〜78か月の子ども262人が、模型と簡単な地図を使う課題に参加しました。基本的な位置の言葉を理解する課題に正答した子どもが対象です。

子どもは、卓上に並んだ箱の模型と、配置を描いたA4の地図を見ました。地図に示された場所を模型で探すとき、地図と模型の向きがそろった課題より、地図を180度回した課題のほうが正答しにくい結果でした。研究の全文PDF

ただし、課題の順番や内容にも違いがあり、家庭で地図を回して持つ練習をした効果を調べた研究ではありません。子どもが一望できる小さな模型での結果で、街中の移動をそのまま説明するものでもありません。

日本の授業実践でも、身近な場所との対応を扱っている

服部太による国内の実践報告では、小学校1年生が自分の席や時計、特別教室などの位置を扱い、校舎内の地図と実際の場所を対応させています。2年生の町探検では、目印を描いた地図を使い、今どこにいるかを教師と確認する活動が紹介されています。国内の実践報告

これは、対照群を置いて効果を確かめた試験ではありません。「この学年ならここまでできる」という基準にもできませんが、身近な場所を一つずつ地図と結び付ける授業の例として参考になります。

地図が読みにくいとき、記号の意味、今いる場所、地図の向きのうち、どこで迷っているかは違います。全部を説明し直す前に、一つの目印がつながるところから始められます。

参考文献

  • Dibek, E., Adak Özdemir, A., & Güven, Y.(2019)The Examination of 5-6 Year-Old Children’s Ability to Use Simple Maps. Journal of Education and Training Studies, 7(3), 182–191. 全文PDF(DOI: 10.11114/jets.v7i3.3904)
  • 服部太(2018)「地図の活用を通した社会科教育における空間認識の育成:小学校低学年,中学年の地図の活用を事例として」地図, 56(1), 71–76. 原文・PDF(DOI: 10.11212/jjca.56.1_71)

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