この記事の要点
- 「下」は、地球の中心へ向かう方向: 地球は人や物を、おおよそ中心へ向かって引きつけています。反対側の人も、足元が「下」です。
- どちらへ落ちると思ったか、指で聞ける: 紙や地球儀の見た目の下と、その場所での下を分けます。疑問の場所を確かめてから説明できます。
- 模型は、向きを考える道具として使う: 地球儀そのものがおもちゃを引きつける実験ではありません。紙の丸でも、中心と人の足元の向きを示せます。
目次
「地球が丸いなら、ここにいる人は落ちないの?」。地球儀の下側を指して、子どもが聞いてくることがあります。
答えるときの鍵は、丸い形をもう一度教えることだけではなく、「下はどちらか」を一緒に見直すことです。主に小学生との会話を想定していますが、幼い子には最初の短い説明だけでも構いません。
反対側の人も、足元が「下」
「地球は、とても大きな球に近い形をしているよ。地球には人や物を引きつける重力があって、地球のどこに立っていても、おおよそ中心へ向かって引かれるんだ。その方向が、その人の『下』だよ」。
地球の反対側に立つ人も、足元に地面があり、頭の上に空があります。地球儀を外から眺める私たちには逆さまに見えても、その人が宇宙の方へ落ちていくわけではありません。
地面が体を支えているので、地球の中へ沈み続けることもありません。NASAの解説でも、「下」を重力による地球の中心の方向、「上」をその反対方向として説明しています。NASA・地球の「下側」にいる人の説明
「どちらへ落ちそう?」と、疑問の向きを聞く
説明の前でも後でも、子どもに指で示してもらえます。
「この人は、どちらへ落ちそうに見えた?」。地球儀の下側から、部屋の床に向けて指を動かすかもしれません。その場合は、「今、この部屋の下を考えていたんだね。地球儀は模型だから、本当の地球のその場所では、中心の方が下になるよ」と分けて話せます。
「地球の中に人がいるの?」など、別の疑問だったら、その話から始められます。正しい答えを言わせるために質問を重ねず、何を不思議に思ったのかが分かれば十分です。

紙の丸なら、中心と足元を示せる
地球儀がなくても、紙に大きな丸を描けます。「球の地球を、横から見たつもりの絵だよ」と伝え、中心に点を一つ打ちます。
丸の外側の、離れた二か所に小さな人を描きます。どちらの人も、足は丸の表面に付け、頭は丸の外側へ向けます。その人の足元から中心へ指を動かして、「この人にとっての下は、こっち」と確かめられます。
矢印を描くなら、それぞれの場所から中心へ向けます。紙の下端に向かって、全部の矢印を平行に描くと、地球の反対側の重力まで同じ向きに見えてしまいます。
これは向きを示すための簡単な模型です。人の大きさや地球との距離を正確な縮尺で描く必要はありません。絵を描くのが面倒なら、地球儀の表面を指して話すだけでもよいでしょう。
一回で全部つながらなくても、説明を足せる
形、立っている場所、重力の向き。ひとつの疑問の中に、いくつもの話が含まれています。その日は「反対側の人も、足元が下なんだね」で終わり、別の日に地球の写真を見る、という進め方もできます。
「落ちないか試そう」と高い場所に上る必要はありません。地球儀を速く回して物を飛ばす方法も、地球の表面で人が立つ理由の説明には向きません。身近な模型で、何を示しているのかを絞って話せます。
ここまでの会話や紙の使い方は、科学的な説明を踏まえた編集部の提案です。以下の研究で、その教え方の効果が検証されたわけではありません。
研究では、丸く描くことと、別の問いへの答えが分けられた
VosniadouとBrewerの研究では、米国イリノイ州の小学1・3・5年生、計60人に個別面接を行いました。地球の形を描くほか、人がどこに住むか、地球に端があるかなどを尋ねています。
多くの子が地球を丸く描いた一方、端から落ちると答える子などもいました。「丸く描けた」という一つの答えだけでは、ほかの問いにどう答えるかまでは分からなかったのです。原著論文
ただし、これは1992年に公表された、一つの学校の中流階級の子どもを対象とする面接研究です。質問の言い方、絵の捉え方、追加質問の影響も考える必要があります。著者らも、子どもの説明が前からまとまっていた考えなのか、質問に答えながら組み立てたものなのかは明確でないと述べています。全ての子に共通する固定的な理解の段階を決めたり、家庭で子どもを分類したりする材料にはできません。
地球が丸いと知っている子からも、重力の向きについて新しい疑問が出てきます。「そうか、そこが不思議だったんだね」と場所を確かめ、足元から中心へ。短い説明を、疑問に合わせて足していけます。
参考文献
- Vosniadou, S., & Brewer, W. F.(1992)Mental Models of the Earth: A Study of Conceptual Change in Childhood. Cognitive Psychology, 24, 535–585. 研究機関掲載の全文(DOI: 10.1016/0010-0285(92)90018-W)。
- NASA Cosmicopia. Ask Us: Earth and Moon. “Why Aren’t People on the ‘Bottom’ of the Earth Upside Down?”(Eric Christian、2011年5月)、“What Keeps Us On the Earth?”。公開解説。科学説明の確認資料で、子育て介入研究ではありません。









