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「それは男の子の遊び」と言われたら? 子どもの「好き」を支える返し方

「それは男の子の遊び」と言われたとき、どう返す? 本人の希望を聞き、好きな物を性別で決めない関わり方を考えます。今の好みを変えさせずにできる短い声かけと、研究の範囲を紹介します。

この記事の要点

  • まず、本人が何をしたいか聞く: 「それで遊びたかった?」と確かめます。周りの言葉に合わせて、好きな物を変える必要はありません。
  • 性別で遊びを決めず、人による違いを伝える: 「車が好きな女の子もいるよ」「人形で遊ぶ男の子もいるよ」。相手の好みは、本人に聞いてよいのです。
  • 今の好きな物を、直そうとしない: 好みがよくある組み合わせでも、珍しい組み合わせでも、その子が楽しめることを大切にできます。

目次

「それは男の子の遊びだよ」「女の子だから、こっちにしたら」。そんな言葉を聞いて、子どもが使っていたおもちゃを置いてしまったとき、どう返せばよいのでしょう。

長い説明を用意する前に、「それで遊びたかった?」と本人の希望を確かめられます。遊びたいと言ったら、「好きなら遊んでいいよ」と短く伝えるところからで十分です。

ここでは、主に未就学児から小学校低学年の、おもちゃや遊びの好みにまつわるやり取りを考えます。

「それが好きなんだね」と、目の前の希望に戻る

子どもが好きな物を話したときは、「男の子なのに」「女の子だけど」と添えなくても、その話を続けられます。

「その車のどこが気に入った?」「人形を寝かせるお布団を作ったんだね」。性別への評価を加えず、目の前で楽しんでいることに言葉を返す方法があります。本人が説明したくなさそうなら、一緒に眺めるだけでもかまいません。

周りに何かを言われた後も、別の遊びへ急いで誘う必要はありません。「今も続けたい?」「今日はやめておきたい?」と、本人が選べるようにできます。続けることを、勇気のテストにしないようにします。

「誰でも同じ」より、好きな人がいろいろいると話す

子ども自身が「男の子は人形では遊ばないよ」と言うこともあります。その言葉だけで責めるより、「人形が好きな男の子もいるよ」と、別の例があることを伝えられます。

実際に知っている人や、本の中の登場人物を思い出してもよいでしょう。ただし、話を合わせるために知人の好みを作ったり、本人が話していないことを広めたりする必要はありません。

「男の子はみんな人形が好き」と反対の決めつけに替える必要もありません。「好きな物は一人ずつ違うから、その子に聞いてみよう」と戻れます。

子ども二人が床で、布の人形と木の車を使って一緒に遊び、大人がそばで見守っている。
どの道具をどう使いたいか、目の前の遊びから話せます。日常の場面例です。

贈り物や遊び道具を選ぶときも、「女の子向けだから」だけで選ばず、「あの子は何をして遊ぶのが好きかな」と考えるきっかけにできます。

返す言葉は、短くてもよい

その場で相手を説得し切ることを、子どもに任せなくてもかまいません。困っていたら、大人が一言添える方法もあります。

自分の好きな物を否定された

「私はこれで遊びたいな」と伝える言い方があります。自分で言いたくないときは、大人が一緒に伝えられます。

友だちの好みを決めつけている

「その子はどうかな。本人に聞いてみよう」と促せます。知っている一人の好みを、全員に広げなくてもよいのです。

大人が性別で勧めてしまった

「さっきは女の子向けと言ったけれど、好きな物を見ていいよ」と言い直せます。長い反省会にしなくても大丈夫です。

からかいや遊びから外されることが繰り返されるなら、本人の返し方だけで解決しようとせず、園や学校など、その場を見守る大人に相談します。「気にしなければいい」と我慢を求めなくてかまいません。

今の好みを、変えさせる必要はない

遊びの選び方を広げたいと思うあまり、「人形ばかりだから車も」「車ばかりだから人形も」と、別の方向へ頑張らせたくなることがあります。

でも、好きな物が一般によく結び付けられる組み合わせでも、その好みを否定する必要はありません。新しい物に興味が出たら触れられるようにしつつ、今楽しんでいる遊びも続けられます。

家のおもちゃを買い替えたり、男女が同じ割合で遊ぶように時間を管理したりする話ではありません。「それを好きでもいい」と伝え、選ぶときの決めつけを一つ減らすくらいから始められます。

研究は「他の子の好みの予想」を調べている

Kingらは、米国中西部で4〜7歳の子ども計373人を対象に、一連の実験を行いました。介入条件の子どもは、人形を好む男の子や、トラックのおもちゃを好む女の子について説明する映像を見ています。

最初の実験では49人を二つの条件に分けました。こうした玩具の好みを紹介する映像を見た条件では、果物の好みを紹介する条件に比べ、別の子も性別の典型に沿わない玩具を好むと予想する方向への変化が大きくなりました。研究の原文

ただし、主に調べたのは、知らない子の好みをどう予想するかです。参加した子ども本人の好きなおもちゃを変える実験ではありません。別の実験では他の子に渡す玩具も選びましたが、映像の種類によって結果が異なり、すべての伝え方で同じ行動の変化が出たわけではありません。

一度の声かけで、考え方が決まるわけではない

この研究では、主に白人で、親の学歴や所得が比較的高い家庭の子どもを、限られた地域で調べています。映像を見た直後の結果が、長く続くかどうかは分かりません。家庭での一言が、同じ効果を生むとも断定できません。

実験で使った言い方を繰り返し教え込むより、普段の小さな場面で、本人が好きな物に耳を傾ける。友だちの好みも一人ずつ確かめる。子ども自身の好みを変えさせずに、大人ができる関わりがあります。

参考文献

  • King, R. A., Scott, K. E., Renno, M. P., & Shutts, K.(2020)Counterstereotyping can change children’s thinking about boys’ and girls’ toy preferences. Journal of Experimental Child Psychology, 191, 104753. 原文(DOI: 10.1016/j.jecp.2019.104753、オンライン先行公開2019年12月)

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